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ミッチーのほぼ日記

アイアン・ホース(1924)  The Iron Horse

カテゴリ: 映画作品解説
(登録日: 2014/01/18 更新日: 2024/02/22)


☆The Iron Horse 1924年
http://www.youtube.com/watch?v=WbC1YnRKCOc

この記事は、「おらほねっと/ミッチーのほぼ日記」から転載したものです。
http://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=14041
 

解説


ジョン・フォードの出世作として知られる『アイアン・ホース』(1924年)をYouTubeで見つけて全編を観ました。

☆The Iron Horse 1924年
http://www.youtube.com/watch?v=WbC1YnRKCOc

ジョン・フォード監督と言えば誰もが西部劇を真っ先に連想します。しかしアイルランド出身の人が西部劇を作るというのはその素性からしてもおかしい。ジョン・フォードがどのようにアメリカという国にアイデンティファイしていたのかはよくわかりません。しかし、米国という素材・環境から何らかの映画を作ろうとすれば、西部の自然が物語の舞台となり、歴史劇=西部劇となるのはある意味で必然という感じもします。

『アイアン・ホース』は、フォードの西部劇の原点のような位置にある作品と見ていいでしょう。アイアン・ホースとは「鉄の馬」、インディアンが鉄道をそう呼んだらしい。映画の物語は、1862年、リンカーン大統領が大陸横断鉄道の敷設を意思決定した後、1869年に東側と西側から敷設し続けてきた鉄道が一つに結ばれるところで終わります。映画らしく面白いものにするため、主人公のドラマを縦糸にし、恋愛を絡ませた展開になってはいますが、全体はアメリカ建国史といえるような叙事詩的物語にしつらえられています。

大陸横断鉄道の建設が国家的大事業であることは言うまでもありません。この映画で面白いと思ったことは、枕木とレールの敷設方法。確かに線路を延伸し続けていくわけなので、工事現場まで汽車に材料を積んで運んでは停めながら、枕木を置いてレールを固定させる、ということを延々と繰り返す。考えてみればそうだよな、と思うことながら、それをこのように映画で見せてもらうことによって、当たり前の事実を知るわけです。労働者が不足し、中国人が借り出されていたことも描かれています。

映画評論家の故・淀川長治さんが『アイアン・ホース』について語った解説も興味深いものがあります。

☆淀川長治世界クラシック名画選集『アイアン・ホース』
http://www.ivc-tokyo.co.jp/yodogawa/title/yodo5080.html

淀川さんによると日本人も労働者として借り出されたらしい。実はこれを裏付ける話題があります。上田松平藩の最後の藩主となった松平忠礼(ただなり)は、明治初頭、弟の忠厚(ただあつ)と米国に留学します。忠厚は米国で技術を修めてエンジニアとなり、大陸横断鉄道の建設に貢献したことが知られています。このことについては機会を改めて触れることにします。

1924年、という製作年は、無声時代の映画の表現が熟成してそれなりに完成の域へと進化しつつある途上の時期と捉えることができます。ジョン・フォードは1919年に監督になりながら、その初期には映画を粗製乱造していたらしい。歴史的に名を残した最初の作品は間違いなく『アイアン・ホース』です。
 
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