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軽井沢でヘンデル『メサイア』を聴く 2012/12/22

カテゴリ: コンサート 地域: 長野県
(登録日: 2013/01/12 更新日: 2024/09/30)


クリスマスにヘンデルの『メサイア』はいとをかし。

私はクリスチャンではありませんが、クリスマスの頃のクリスマスの気分は好きです。一年が押し迫った感じのする日本の年の瀬と重なって、クリスマスの年の瀬は日本の風物詩になっているという感じすらします。

日本ではなぜか年の瀬にベートーヴェンの第九を聴くことが恒例になっています。個人的には年の瀬に第九を聴きに行く気はしません。年の瀬=第九というアイデンティティは私の中にはありません。

それよりは年の瀬にはクリスマスにふさわしい宗教的な音楽を聴きたいという欲求があります。クリスチャンでもないのにそう感じるのが不思議です。昨年12/22、軽井沢大賀ホールにヘンデルの『メサイア』を聴きに行ってきました。この時期の軽井沢は寒く、カラマツの広がる地域の雰囲気は、不思議にヨーロッパに近いものを感じます。

ヘンデルは日本ではドイツ語読みのヘンデルで定着していますが、意外なことにヘンデルは主に英国で活躍し、英国籍まで取った英国在住の作曲家です。バッハとはそれほど年代的に差がないにもかかわらず、ヘンデルの曲は現代人の感覚に近い「近代」の音楽です。学生の頃、FMで放送されたヘンデルの『ヘラクレスの選択』をカセットテープに録音し、余った部分にビートルズの『ヘイ・ジュード』を入れて聴いていました。この2曲は不思議に調和しあって、違和感がありませんでした。時代を超越して音楽のフィーリングが合っているというのが意外な発見でした。

もしかすると、アングロサクソンとまでは言わなくても、英国風、というコードがあって、これが時代を超えて通底しあう要因にあるのではないでしょうか。

『メサイア』でもそれを感じました。アンコールで合唱された小曲3曲の違和感のなさ。フルコースの後に出されたデザートのような口当たりのよさでした。

コンサートで『メサイア』を聴くのは2回目です。1回目は5年ほど前、ニコラウス・アーノンクール指揮のウィーン・コンツェントゥス・ムジクス。東京でのコンサートはチケットが売り切れていたので京都で聴きました。おそらく世界でこれ以上の演奏は望めないというぐらいの世界最高の音楽集団。これは別格に素晴らしかった。生で聴いた心に残る数少ない名演の一つです。

この日の演奏は鈴木雅昭指揮のバッハ・コレギウム・ジャパン。鈴木さんは日本人で唯一、ライプツィヒ・バッハ・メダルを受賞したことでも話題になっていました。日本人が古楽器を演奏する、ということだけでもたいへんな文化的チャレンジです。古楽器の響きも柔和で心地よく、ビートルズにも通じるあの独特のヘンデルの音楽が不思議にクリスマス気分を醸成していました。コーラスが特に素晴らしい。日本人でこれだけしっかりと合唱ができるということに感心しました。ちょっと面白かったのが古楽器のトランペット。アイーダ・トランペットのような長い直線上のラッパです。肺活量も必要な上、音程をコントロールするのも難しいようでした。日本人オーケストラでもいつも感じること。日本人に金管楽器はどうも苦手である。この辺はもしかすると民族的な優劣があるのかもしれません。

日本の年の瀬、素晴らしい日本人の『メサイア』を聴いて堪能しました。
 
おらほねっと/ミッチーのブログから転載
クリスマスにヘンデルの『メサイア』はいとをかし
2013年01月12日(土)
https://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=12542

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