人目をよそに 春は いのちの花を飾り 秋には 深紅の炎と燃える あれら 山ふかく 寂莫に生きる木々の姿が 今は私になった
丸山薫
丸山薫は昭和詩の大きな潮流であった四季派を代表する抒情詩人として知られています。現在も美しい言葉の輝きを放ち続ける詩集『帆・ランプ・鴎』から『月渡る』に至る詩作活動は、生命あるものの寂寥をみつめた人間の歩みを示しています。 船員に憧れながら挫折した詩人は、『言語の海』を彷徨する旅行者となりました。そして今、水先案内人となって、読者を豊かな感性の世界に導くのです。
丸山薫が、この地で生活されたのは、第二次世界大戦終結の直前から昭和23年7月までの僅か3年あまりですが、小学校の教壇に立つかたわら地域の人々と深いかかわりを持ち詩作活動を続け、この地を舞台に『北国』『仙境』『花の芯』『青い黒板』の4冊の詩集を出されるなど多くの業績を残されました。
|