欠損して形が確かではないが、姥神と呼ばれている。 姥神(うばがみ)とは民間信仰の呼び方であって、もともとは三途の川のほとりで死者の衣をはぐ鬼女で脱衣婆(だつえば)といわれる。平凡な人が死ぬと死出の旅路に三途の川を渡る事になるが、三途というのは、その川には急流、中流、緩流の三ヶ所の渡所があり、死者の生前の行いによって、渡る場所が違うようになる。その三途の川の辺りに生えている衣領樹という一本の木の下には懸衣翁(けんえおう)とい老いさらばえた鬼がいて、奪衣婆が死者から衣を剥ぎとって懸衣翁に渡すことになっており、懸衣翁は受け取った衣をそばの衣領樹の枝にかけると、その枝のしなり具合で死者の罪業が分かることになっている。脱衣婆は修験道や民間信仰と融合して登拝道や街道筋、村境などに鎮座するようになったのは、三途の川、つまり幽明界の境界に居た。また市井の路傍の姥神は道祖神的性格をもち、安産や子育て、性病、家内安全などの神として信仰されている。
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