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報告書目次: 第3章 データベースの試作と評価 (4) 「PopCorn」による全素材のクリップ化▼画像素材の一括変換 デジタルカメラで得た画像、DVビデオから抽出した静止画を一つのフォルダ内(JPEG画像を対象とするフォルダ)に全て格納し、それらの全てを画像サイズ・ガイドラインに従ってLサイズ、Mサイズ、Sサイズに一括変換する。 一括変換処理には、一括変換機能を持つ画像処理ソフト(GraphicConverter)を用いる。 ▼DV静止画抽出とクリップ化 収蔵品の全情報を得るため、また個々の収蔵品の名称情報を得るため、DVビデオに記録された収蔵品と展示品キャプションの静止画を全て抽出し、「PopCorn」により未編集状態の画像クリップを一括自動生成する。 未編集状態の画像クリップの生成例を図11に示す。 (5) 収蔵品単位のクリップ化キャプションの画像に着目し、同一の収蔵品を1ページ(同一収蔵品を記録した複数クリップ)単位に整理する。キャプションに付された名称を収蔵品の名称として使用し、キャプションに説明文が付されている場合は、これを収蔵品の説明として使用する。 以上の整理を加えて一括生成した画像クリップの生成例を図12に示す。 (6) 紅花資料館パンフレットの素材化▼パンフレットのデジタル化 紅花資料館パンフレットをどのようにデジタル化するかについては、二つの方法が考えられる。一つは原資料の各ページを画像としてスキャナ入力する方法である。もう一つは文章をテキストデータ化し、パンフレット掲載の写真をスキャナ入力して写真単位に画像素材化し、テキストと画像の複合的なデータとして構成する方法である。 パンフレットは、同じページに掲載された解説文と収蔵品等の写真とが相互独立的に掲載されているという特徴がああること、それぞれ個別の情報に対してきめ細かくインデクス化を行うことが情報整理に役立つこと、図版キャプションなどの文字が小さく、スキャナ入力画像で文字の判別が難しいことなどの理由から、解説文はテキストデータ化し、図版はデジタル画像化する方法を採ることとする。 テキストは手入力で採録をし、図版はスキャナ入力して素材化を行う。 これらのパンフレットのデータを制作済のデータに追加し、「PopCorn」によりサイト全体の生成を行う。パンフレットのデータを生成した例を図13に示す。 (7) 公開に向けた第1版の作成▼インデクス構成の確定 「紅花文化データベース」のコンテンツを構成するのに最適なインデクスの構成とその具体的なキー項目を、パンフレットの内容面の項目、収蔵品のデータから仮確定させる。 インデクスには資料別インデクス(出典となる資料別、紅花資料館収蔵品画像、…)、紅花文化を詳細化した項目別インデクス(紅花資料館について、紅花屏風、紅花と歴史、…)、地域目次(河北町、…)を設ける。 資料インデクスは現時点では数が少ないが、今後、資料を追加することを想定している。同様に地域インデクスのキー項目は河北町のみであるが、紅花文化は山形県全域や他県にまたがるものであることから今後、他地域のデータが追加されることを想定している。 さらに個別のページが、これらのインデクスのどのキー項目に該当するかを整理し、データを修正する。 ▼各ページの確認と修正 全データに間違いがないかどうか、インデクスのキーの設定などが妥当かどうかなどを確認し、各ページのデータを修正し確定させる。併せて公開のための情報(掲載許諾、無断転載禁止など)があれば、これらを全ページに付け加える。 ▼ホームページ制作と生成パターンの改善 最後に「紅花文化データベース」にふさわしいホームページを制作する。また、「PopCorn」によるレイアウトなどの生成条件を公開に向けて改善する。全文検索フォームの自動生成もこの条件に付け加える。このようにして、「紅花文化データベース」公開版を「PopCorn」により生成する。 このようにして生成した例を図14に示す。 (8) 今後の課題と方向性▼このケースの課題 「紅花文化データベース」は、取材で得た情報(DVビデオデータなど)にまだ未整理のデータも残っている。わずか1日で撮影できる収蔵品の数には限界があり、撮影できなかったもの、撮影はしたが映像の質に難があったものなどもある。 このケースでは、紅花資料館の情報をデータベース化することを第一段階の目標としてデータベース化を試みたが、もっと県内の各地域に残る資料や、各地域の風景・文物などがこれに加えられれば、さらに広がりと奥行きのあるデータベースに発展させることができる。 ▼公開版が完成版ではない 以上のとおり「紅花文化データベース」を具体例として、本研究で試作したデータベースの企画から公開までの手順を見てきたが、公開に供するものであっても、これが完成形では決してない。従来の出版と異なり、情報量の制約を受けることなく、しかもコンテンツに対し随時変更を加えることのできるところにデータベースの最大の特長があると言ってよい。データベースのデータを随時次の段階に向けて「PopCorn」で手軽にWebサイトとして自動生成し、その段階での情報を確認し修正し、さらに新たなデータを追加する、という手順を取ることで長い時間をかけて、知識の集積庫でもあるデータベースを充実させていくことができる。 むしろ、インターネットの双方向性を活かし、特定のテーマに関心のある方から意見や情報を募ったり、個人の地域学習活動として家庭などのパソコンでデータベース制作を楽しみながら情報を提供していく、といった取り組みが望まれる。 (執筆者: 前川道博)
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