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報告書目次: 第2章 地域文化情報のあり方に対する検討 (1) 著作物の取り扱い地域文化研究家などによる著作物などの文化研究の成果をデータベースに加えていくことができれば、「知のアーカイブ」としてのデータベースの価値を高めていくことができる。その反面、その知的財産権に対する補償、研究成果に対する対価的補償などの問題が派生する。さらに研究成果をデータベース化し、インターネットに公開する場合、出版等の従来の形態にはない新たな問題も派生する。 試作データベースでは、データベースに収録した著作物については著作者名・著作名、撮影・掲載許諾者名、転載(二次利用)不可を明示する形で権利の明示を行った。 デジタル素材・コンテンツに関する著作権は、対象物、撮影者、デザイナーなど素材を加工するプロセスにおいてさまざまな権利が発生させるものであり、厳密にはさらにきめ細やかな権利の保護が必要である。 こうしたデジタルコンテンツに関わる著作権の考え方と処理の方法については、デジタルアーカイブ推進協議会が整理した「デジタルアーカイブ権利問題ガイドライン(案)」によくまとめられている。山形県地域文化データベースにおいてもこれに準拠した扱いをガイドラインとして採用することが適切な対応であろう。 「デジタルアーカイブ権利問題ガイドライン(案)」 http://www.jdaa.gr.jp/what/wh1-01_main.htm (2) 既存の著作物の公開方法の可能性に関する検討印刷物の形態を取る著作物をテキストコードに変換し、データベース化するには、変換ミス等の構成などの作業を派生させるだけでなく、著作物の知的財産権の遺族への継承、印刷物のレイアウト・素材等の権利など、著作物の権利問題を派生させる。 この具体的解決策として、試作データベースでは、著作物をイメージ入力して素材化し、これの有効性を検証した。 (3) 出版に替わるWebパブリッシングの可能性の検討個人の研究成果の多くは、従来、自費出版という形態で公開されてきた。今後は、出版に替わり、Webパブリッシングの選択が可能となる。自費出版には多額の費用がかかることから、研究成果をデータベース化し、データベースと連携したWebパブリッシング、データベースと連携した低コスト出版は、文化研究者に対し新たな発表形態を創出する。このような発表形態が現実に可能であるか、またどのような支援策により、この形態が促進しうるかは、データベースの多様な利用形態の一つとしてさらに検討を加える必要がある。 (4) データベース制作のデータ継承における権利情報の保持データベース制作支援技術体系の機能として、システム試作に当たってはデータベースに蓄積されたデータの再利用を促進するための機能を考慮した。これに対応して著作権情報は、再利用後のデータにも継承される方式とした。この機能は、データが再利用される場合に著作権保護の目的から必要なものである。今後に向けては完全な方式により保護機能の強化を図っていくことが望まれる。 (5) フリー素材の公開データベースが幅広く利用されるようになるためには、学習や新たな情報提供を目的とし、フリー素材が数多く公開されることが望ましい。資料・素材は再利用を図ることにより、コンテンツを充実させていくことができる。 既に学校教材等の情報提供においては、教育目的での素材再利用を許可するサイトも増えている。地域文化データベースもこれと同じ目的から、フリー素材化が可能なものについてはフリー素材として公開できることが望まれる。 (執筆者: 前川道博)
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