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報告書目次: 第2章 地域文化情報のあり方に対する検討 (1) データベースを活用した文化振興の具体策データベースを実際にどのように文化振興に活かしていけるのかを、以下に示す。 ・データベース制作活動の母胎となる地域文化研究活動の展開 データベース制作は、誰が担い手になり、どのように制作を進めていくかは、データベース構築の大きな課題である。県民一人一人、県内の団体・企業・学校等がそれぞれに研究を行い、それぞれの研究成果がデータベースに集積できるようにするための具体的な方策を検討する。 具体的には、以下の方法が考えられる。 ・県民有志が地域文化を対象とする生涯学習を行い、その成果を集積する方法 ・公民館・任意グループ等を母胎とするテーマ別、地域別のデータベース作り ・学校教育における「総合的な学習の時間」の実践方法としてのデータベース作り ・県民有志がネットワークを用いて共同的にデータベース作りを行い、その成果を集積する方法 ・県内の企業、産業従事者が持つ情報をデータベースに活かしていくための方法 ・市町村(市役所、役場)、博物館、寺社等が保有する文化財、文化的資料のデータベース化 ・県内各所に埋もれている文化的価値のある資料の発掘とそのデータ化 ・失われつつある無形文化(方言、生活習慣等)の早急なデータベース化 ・開発により失われる埋蔵文化の早急なデータベース化 (2) インターネットの双方向性を活かした環境作りデータベースを県民が活用できるようにするためには、インターネットにデータベースを公開し、家庭や学校などから幅広く利用できるようにすることが必要である。 従来、データベースは情報を検索し閲覧するものであるという限定的な意味においてコンピュータネットワークの「双方向性」の活用策が考えられてきた。しかしながら、インターネットは地域や個人が主体の分散ネットワークであるところに最大の特徴がある。インターネットのこの潜在的な可能性を活かすためには、先に挙げたとおり、県民がデータベース制作に直接参加できるサービスとしてデータベースを県民に提供し、地域の知を集積できる環境作りを行うことが真の意味での「双方向性」の活用になると踏み込んで考えることができる。 この双方性の概念を図2に示す。 (3) 県民開放ネットワークの設置県民がデータベース制作に直接参加できるようにするためには、データベースサーバのユーザとして情報資源の更新を行うことのできる権限を与えることが必要である。 この運用を具体的にかつ円滑に行うことができるようにするためには、地域文化データベースに特化した県民開放ネットワークを開設し、ユーザIDの発行が合目的的に行えるようにするネットワーク環境が必要となる。県民開放ネットワークの概念を図3に示す。 このようなサーバ環境は、必ずしも県が提供し管理なければならないという原則的な理由はない。むしろ地域文化データベースが、市町村・文化施設・学校・民間プロバイダ、ボランティアグループなどの自由意思によって運営され、異なるネットワークに分散するデータベースとして展開されることが、地域文化創造の環境作りとしては必要である。 その第一段階としては、具体的に利用可能な地域文化データベースをインターネットに公開し、これを試行し、本格的な分散型運用へと拡張していくことが最も現実的な選択肢になるものと考えられる。 (執筆者: 前川道博)
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