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甲府市中心街の記憶

山梨県庁旧庁舎の記憶

地域: 山梨県甲府市
(登録日: 2010/11/03 更新日: 2022/12/29)


 山梨県は防災新館の整備に伴い、県民情報プラザ・第一南別館・第二南別館を2009年(平成21年)12月に閉鎖し、解体撤去した。
 県庁南別館(旧県立図書館、旧GHQ本部にも使われた)は実業家 根津嘉一郎氏の寄付により昭和5年に建てられたものであり、甲府の街に残った文化遺産、県下唯一のモダンデザインに影響を受けた建築であるとされていた。県民からは、文化財としての保存を求める意見も出ていた。(2009年2月16日、日本建築家協会関東甲信越支部提出、横内知事宛「山梨県庁舎第一南別館(旧県立図書館)保存活用に関する要望書)
 
 これに対し、山梨県は「一刻も早い防災拠点の整備が求められている中で、第一南別館の保存は、防災新館の整備日程、更には、その後の別館等の整備日程全体の遅れを招き、「耐震改修促進計画」において決定されている平成27年度末までの耐震化の完了に大きな支障を生じること、また、厳しい県の財政事情を踏まえ、耐震化整備にあたっては、必要最低限の整備とし整備費用を極力抑制することとしていますが、第一南別館の保存は、いずれの方法でも大幅な事業費の増加を招くとともに、国庫補助金等の外部財源の活用も期待できず、ほとんどが県負担となること」などの理由から、保存することは困難と判断し、解体撤去を決めた。
 文化財としての保存については、記録保存を行うこととし、専門家の意見を踏まえた歴史的考察や建物のうち特徴的な部分の保存等を行うこととした。
 この方針に基づき、山梨県教育委員会は「旧山梨県立図書館(山梨県庁第一南別館)記錄保存調查報告書」(2010)を編集作成した。
 なお、文化財的価値が高いとされている別館、議事堂については、文化財としての価値を明確にし、末永く保存活用していく観点から、有形文化財の県指定を目指すとともに、歴史的建造物としての活用を図っていくこととした。この方針に基づき、平成25年3月、別館を「山梨県庁舎別館展示施設」として改装する計画が発表された。


第一南別館
 山梨県庁舎旧南別館は、昭和5年(1930)に建てられた当時の昭和モダン建築様式による建物。山梨県出身の実業家として甲州財閥の巨頭であり、政治家でもあった根津嘉一郎が建設費を寄贈した。1930年(昭和5年)に地上2階建・延床面積936m2の建物として竣工。
 その翌年から昭和45年(1970)まで県立図書館として使われ、図書館が丸の内二丁目に移転したため、その後は県庁舎南別館として平成21年(2009)まで使用された。また、第2次大戦後のGHQによる占領時代にはGHQの甲府軍政部が置かれた。 
 歴史的価値があるため保存も検討されたが、耐震性の問題により最終的に解体の対象となった。(山梨県庁総務課WEBサイトの説明などに基づく)


第二南別館
 1971年(昭和46年)に「国際興業ビル」(黒い館とも)として地上4階地下1階建、延床面積2,425m2の建物が竣工した。国際興業時代は店舗や映画館が入居していたが、2001年(平成13年)に本館の耐震工事などに関連し、山梨県が国際興業より当ビルを買収、改修の上で現在も使用していた。(WIKIPEDIAによる)
 
山梨県庁 南別館 解体直前に入居していた部局

【第一南別館】
◎2階
選挙管理委員会事務局
教育委員会学術文化財課
◎1階
観光部部長室、次長室、観光企画課、観光振興課

【第二南別館】
◎3階 
企画部世界遺産推進課
森林環境部みどり自然課
教育委員会スポーツ健康課
◎2階
森林環境部森林整備課
◎1階
観光部観光資源課
土木部土木総務課分室
生涯学習推進センター

【東別館】
公安委員会
警察本部
 
山梨県県民情報プラザの閉鎖時に入居していた部局

記録日: 2009/00/00 県民情報プラザで最後に入居していた部局
山梨県庁舎第一南別館の保存活用要望書

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記録日: 2009/08/12 山梨県甲府市丸の内

記録日: 2009/02/16 日本建築家協会観光甲信越支部の要望書
山梨県庁舎第一南別館の保存活用要望に対する県当局の回答

記録日: 2009/08/21 山梨県庁舎第一南別館の保存活用要望に対する県当局の回答
山梨県庁舎別館展示施設整備基本計画

記録日: 2013/03/00 山梨県庁別館展示施設整備基本計画


(30件)
01 山梨県民情報プラザ(旧アーバンなかごみ、甲府西武) 02 山梨県民情報プラザ(旧アーバン中込) 03 山梨県庁第2南別館 04 山梨県庁第2南別館
05 山梨県庁第2南別館 06 県民会館 07 県民会館 08 山梨県庁東別館
09 山梨県庁第1南別館 10 山梨県庁第1南別館 11 山梨県庁第1南別館の丸石 12 山梨県庁第1南別館
13 山梨県庁第1南別館 14 山梨県庁旧本館正面玄関 15 山梨県庁旧本館正面玄関 16 山梨県庁旧本館正面玄関
17 山梨県庁旧本館正面 18 山梨県庁旧本館右翼 19 山梨県庁旧本館 20 山梨県庁旧本館左翼
21 山梨県庁旧本館 22 山梨県議会議事堂 23 山梨県議会議事堂 24 山梨県議会議事堂
25 山梨県議会議事堂 26 山梨県庁構内配置図 27 山梨県民情報プラザ(旧アーバンなかごみ、甲府西武) 28 山梨県民情報プラザから県民会館方面
29 山梨県民情報プラザの玄関 30 山梨県民会館

「山梨県防災新館整備等事業」の経過説明報告


記録日: 2009/08/28 「山梨県防災新館整備等事業」の経過説明報告
解体撤去された山梨県庁南別館、県民情報プラザなどの配置図

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山梨県庁


(4件)
01 県民情報プラザ、県庁第2南別館の解体が終了 02 県民情報プラザ、県庁第2南別館の解体が終了 03 県民情報プラザ、県庁第2南別館の解体が終了 04 県民情報プラザ、県庁第2南別館の解体が終了



(17件)
01 甲府市中心街に存在した奇蹟の森「白鳳の庭」 02 山梨県庁「白鳳の庭」由来 03 山梨県庁「白鳳の庭」 04 山梨県庁旧本館と「白鳳の庭」
05 山梨県庁旧本館と「白鳳の庭」 06 山梨県庁旧本館・正面玄関 07 山梨県庁旧本館 玄関 08 山梨県庁旧本館・玄関ホール階段
09 山梨県庁旧本館・玄関ホール 10 山梨県庁旧本館・玄関ホール 11 山梨県庁旧本館・玄関ホール階段 12 山梨県庁旧本館・玄関ホールから北側通路
13 山梨県庁旧本館・玄関 14 山梨県議会議事堂 15 山梨県県議会議事堂 16 平和通り・ファンシーロード8番街
17 山梨県議会議事堂前交差点の様子

山梨県庁舎耐震化工事、防災新館整備事業

山梨県庁舎耐震化等整備事業の状況(県庁HPのフォトアルバム)

 県庁構内の県庁舎耐震工事や議事堂、県庁別館、北別館、西別館の改修工事、県庁前庭の改修工事などの進捗状況を県管財課がフォトアルバムとして記録し、平成27年6月1日付けで公開した。
 

山梨県庁舎耐震化等整備事業のフォトアルバム
山梨県防災新館が完成

 山梨県防災新館整備等事業は、県民会館、県庁東別館などの解体撤去に伴い、集約建て替えのため、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律第7条第1項の規定に基づく民間事業者によって建設され、平成25年9月、「防災新館」として完成した。
 民間資金等の活用による公共施設等の整備手法(PFI事業)は、防災新館に先立って、山梨県立図書館で採用が決定し、県議会の承認により予算化まで決定していたが、結局、白紙撤回された経過がある。
 「防災新館」は、大規模災害発生時に、県民の生命と財産を守る防災拠点としての役割を果たすため、警察本部、教育委員会及び災害対策本部関連部署を配置された。
 1階部分には、活気やにぎわいの創出を目指して、地場産品や観光資源等のやまなしブランドを広く情報発信する場として県民利用施設や商業施設が「やまなしプラザ」として、整備された。
事業スケジュール
 
広報誌:ふれあい特集号vol.38

山梨県広報誌:ふれあい特集号vol.38

山梨県広報誌:ふれあい特集号vol.21 防災新館特集
山梨県防災新館パンフレット

山梨県防災新館パンフレット
山梨県防災新館整備等事業(PFI事業)実施方針(公開文書)

記録日: 2009/06/17 山梨県防災新館整備等事業(PFI事業)実施方針(公開文書)
山梨県防災新館整備等事業(PFI事業)要求水準書(公開文書)

記録日: 2009/10/00 山梨県防災新館整備等事業(PFI事業)要求水準書(公開文書)
山梨県防災新館整備等事業における落札者の決定発表

山梨県防災新館整備等事業における落札者の決定広告
県庁舎耐震化等整備事業

「県庁舎耐震化等整備方針」を発表。2008年2月7日。
県民会館、東別館などを解体・撤去し、集約建て替えにより、防災拠点としての防災新館を整備するとともに、文化財的な価値の高い議事堂・別館を改修し、「耐震改修促進計画」で定める平成27年度までに、県庁舎の耐震化を図る。


県庁舎耐震化等整備基本計画 県庁発表日:2009年4月1日
概要・経緯等
平成20年2月に決定した「県庁舎耐震化等整備方針」を踏まえ、「県庁舎耐震化等整備基本計画」の検討を進めてきました。

平成21年2月、「県庁舎耐震化等整備基本計画(案)」を取りまとめ、県議会に説明するとともに、議事堂改修に関して県議会の意見を求めました。

平成21年3月、県議会の意見を踏まえ「県庁舎耐震化等整備基本計画」を別添のとおり策定しました。
内容
〈基本計画の概要〉
1 県庁舎耐震化等整備の必要性
2 県庁舎耐震化等整備の基本的な考え方
3 防災新館の整備
4 議事堂、別館の改修等
5 敷地の活用計画
6 事業手法及び県財政への影響
7 全体の整備スケジュール等
関連資料
「県庁舎耐震化等整備方針」
「県庁舎耐震化等整備基本計画概要版」(PDF)
 
県庁舎耐震化等整備方針

山梨県庁舎耐震化等整備方針書
「県庁舎耐震化等整備基本計画」(PDF)

「県庁舎耐震化等整備基本計画」(PDF)
オープン県庁敷地整備計画について

オープン県庁敷地整備計画 県庁HP発表日:2012年3月28日

 山梨県は、平成21年3月に策定した「県庁舎耐震化等整備基本計画」の考え方をはじめ、「甲府駅南口周辺地域修景計画」における県庁周辺の整備方針との整合性を図るとともに、「山梨近代偉人館」や「県政歴史展示室」の整備による別館の活用などを踏まえ、今後の県庁敷地の姿を明らかにする「オープン県庁敷地整備計画」を策定し、発表した。
 県庁敷地については、甲府市中心街や甲府城など周辺地域への人の流れを促し、活気やにぎわいの創出を図るとともに、周辺環境や景観との調和に十分に配慮する中で、甲府駅南口周辺地域において、歴史と文化が感じられる、開放的な敷地とすることを基本に整備することとした。

 県庁敷地の整備に合わせて、県指定有形文化財である別館の博物館的な活用を図るほか、防災新館において甲府城の石垣等を展示・公開するなど、歴史・文化的資源を積極的に活用するとともに、敷地の整備に当たっては、必要に応じて敷地の調査を行うなど、埋蔵文化財には十分配慮することとした。

県庁敷地整備について 更新日:2014年5月13日

最終決定の趣旨
 県は平成24年3月に「オープン県庁敷地整備計画」を策定し、県庁敷地については、甲府市中心街や甲府城など周辺地域への人の流れを促し、活気やにぎわいの創出を図るとともに、周辺環境や景観との調和に十分に配慮する中で、歴史と文化が感じられる、開放的な敷地とすることを基本に整備することとした。
 平成24年度には、敷地整備イメージについて検討を進めるにあたり、県民から幅広くご意見を募集した。

 この決定に伴い、県庁前庭を四季の彩りで飾っていた「白鳳の森」(野呂川流域開発記念庭園)は、撤去され、跡地はイベント広場とすることになった。野呂川流域開発は、県にとって重要な県土開発であり、困難な開発であったがため、白鳳の森として記憶にとどめたものであるが、時代の変遷により、記憶は喪われることとなった。

関連資料
オープン県庁敷地整備計画」(PDF)
「オープン県庁敷地整備計画概要」(PDF)
 

オープン県庁敷地整備計画

オープン県庁敷地整備計画
県議会議事堂改修工事について

議事堂の改修(平成24年2月完了)
県指定有形文化財(平成21年12月指定)の保存・活用に配慮するとともに、バリアフリー化、傍聴席の拡充、議場の改修など、議事堂の機能拡充に必要な施設・設備を整備する。
バリアフリー化
正面入口南側へのエレベータの設置
段差の解消
(正面玄関ホールなどへの段差解消機の設置、傍聴席出入口の階段の撤去)
傍聴席の拡充
傍聴席の増席及び勾配の緩和
席数:143席→196席、勾配:32度→24度
車いす用傍聴席の確保
傍聴席左前列に5席
議場の改修
座席間隔の拡幅
議員席前後の間隔を10cm拡幅
対面式演壇の設置、放送用設備の改修
機能の拡充等
図書室の拡充
1階:106平方メートル→地下1階:188平方メートル
議員用面談室、傍聴人控室の確保
トイレの改修及び多目的トイレの設置(1階)
 

県議会議事堂改修後の配置マップ
山梨県庁舎別館展示施設整備基本計画について

 山梨県HP:2013年3月29日発表
 県庁舎別館を、郷土への愛着とにぎわい創出の施設として整備します。
 山梨県には、「甲州財閥」をはじめとし、明治以降の近代において様々な分野で活躍した多くの先人達がいます。これらの先人達の活躍にスポットを当てるとともに、県政の歴史などを紹介し、未来の山梨の発展に向けて、県民に伝えていく必要があります。
 山梨県庁舎の1つである別館(旧本館)は、昭和初期の建設当時の意匠を多く残し、県政の歴史や近現代に活躍した山梨ゆかりの人物の功績等を伝えるにふさわしい建築物です。
 このため、山梨県では、県指定有形文化財である県庁舎別館について、県民や観光客等に積極的に公開し活用を図っていくとともに、中心市街地の活性化やにぎわいの創出に配慮し、利用者に身近で利用しやすい県庁とするため、別館の改修事業に合わせ、館内に展示施設を整備することとしました。
関連資料
山梨県庁舎別館展示施設整備基本計画(PDF)
山梨県庁舎別館展示施設整備基本計画(概要版)(PDF)
 

山梨県庁舎別館展示施設整備基本計画概要版

山梨県庁舎別館展示施設整備基本計画

山梨県県民会館のシンボル「協」と「和」の県庁移設

(4件)
01 県庁に移設された山梨県県民会館のシンボル「協」と「和」 02 山梨県県民会館正面ホール 03 山梨県県民会館玄関ホールの書 04 県民会館玄関ホールの書


山梨県県民会館のシンボル「協」と「和」
 山梨県県民会館は、公会堂棟が昭和32(1957)年竣工、事務棟が昭和35(1960)年に竣工した。当時の山梨県は財政難にあったため、建設費の一部が県内外からの募金によって賄われた。この建設募金の趣旨と県民への謝意を集約するシンボル展示として、「協」、「和」の文字の入った人工大理石のパネルが県民会館玄関に設置された。書は、建築当時の知事である天野久氏によるもの。平成27(2015年)、県民会館の解体撤去の際、「オープン県庁敷地整備計画」によって、山梨県庁構内に移設された。
(出典:山梨県総務部管財課WEB)
 

山梨県庁「白鳳の庭」 開設と移設の経過について

(3件)
01 山梨県庁前庭「白鳳の庭」の移設 02 山梨県庁前庭「白鳳の庭」の移設 03 山梨県庁前庭「白鳳の庭」の移設


 山梨県庁本館前庭には、平成27(2015)年まで森林庭園が整備され、「白鳳の庭」と命名されていた。昭和29年から10数年の歳月をかけた野呂川流域(観光名称「白鳳渓谷」)の総合開発事業(主なものとして野呂川流域の電源開発、野呂川林道の開設等)の記念として、昭和39(1964)年に県庁前に建設された。また、庭園には白鳳渓谷の美しさを表現するため野呂川流域の石を使用し、名称を「白鳳の庭」とした。
 平成27年の、「オープン県庁敷地整備計画」に伴う「白鳳の庭」撤去に伴い、「白鳳の庭」に使われていた「白鳳石」を山梨県庁旧庁舎裏庭に移設した。

(出典:山梨県総務部管財課WEB)
 

山梨県庁舎・旧南別館シンボル丸石の移設


 山梨県庁舎旧南別館は、昭和5年(1930)に建てられた当時の昭和モダン建築様式による建物。甲州財閥の根津嘉一郎が建設費を寄贈した。その翌年から昭和45年(1970)まで県立図書館として、その後は県庁舎南別館として平成21年(2009)まで使用されていた。第2次世界大戦後、QHQによる占領時代には、GHQ甲府軍制部が置かれた。
 玄関入り口には、創建当初から丸石がシンボルとして設置されていた。南別館の解体撤去に伴い、シンボル丸石は、県庁東側入り口に記憶遺産として移設された。
 丸石は山梨の民間における道祖神信仰のなかで、神が宿る依り代と考えられ、県内各地で道祖神の神体として集落の魔除けのシンボルとして、祀られている。こうした県民感情に加えて、シンボルとしての丸石がデザイン的にはモダンなイメージがあり、庁舎の玄関に“魔除け”の意味も込めて設置されたのではないかと思われる。
 
(2件)
01 山梨県庁旧南別館のシンボル丸石 02 山梨県庁旧第1南別館

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