長野県の蚕糸業の歴史・遺産・文化を学び、活かす
1.趣意
かつて蚕糸王国とも呼ばれた長野県は、日本の近現代の基幹産業であった蚕糸業を牽引し日本の近代化に大きく貢献した地域であるにもかかわらず、地域全体でその歴史そのものが忘れ去られつつあります。
その一方、蚕糸業の歴史遺産は県内各所に存在しており、 それぞれの歴史的背景を掘り起こしていけば、近現代において蚕糸業が県内各地の中核産業であったことが確認できます。
近年、群馬県の「富岡製糸場と絹産業遺産群」がユネスコ世界遺産に登録され、蚕糸業 遺産ブームとも呼ぶべき現象が起きました。この状況変化に対し、蚕糸業の歴史遺産を活かした地域活性化の動きが見られます。
(例)経済産業省関東経済産業局「絹のみち広域連携プロジェクト」
信州シルクロード連携協議会(長野県内15市町村など、岡谷市が事務局)
今後はこうした行政主導の動きに加え、民間・住民の知恵・力を活かして地域を活性化 していくことが望まれます。そこで長野県の蚕糸業の歴史・遺産・文化をこの機会に評価し直し、各地域の地元の誇り醸成、観光の活性化につなげていくことを広く呼びかけます。
2.プロジェクトが目指すもの
- 信州シルクロードを共通項とし、各地域の資源と活動を持ち寄り、お互いのつながり・ 交流を進めることにより、これまで地域に閉じていた地域活動を創発的効果、相乗効果の高いものに変えていく。
- 信州シルクロードが広く認知され、観光客が数多く訪れるようになることを目指す。
- 「信州シルクロード」の歴史・文化を市民が相互に共有しあうことにより、地域住民が 地元に誇りを感じ、それをよく知ること、感じることが面白いと感じられる地域に変えていく。
3.地域の課題と解決の方向性
- 観光に活かすための地域資源の掘り起こし、歴史の引き出し
何が地域資源か、どんな歴史でこの地域が形成されたかをさまざまな手段を用いて「見える化=共有」する。 - 地域主導、民間主導 地元有志により地域を変える意思
観光推進・地域づくりこそ地域主権の筆頭課題。行政まかせでなく地元住民の意思で。 - 地域間連携を実行性のあるもの、長続きするものに
基本スタンス:つなげる・つなぐ・つながる 創発の輪。
3.活動のデザイン
- 観光に活かすための地域資源の掘り起こし、歴史の引き出し
- 地域主導、民間主導 地元有志により地域を変える意思
- 信州シルクロード観光プランニング
- 蚕糸王国信州の物語づくり
- 観光推進のための働きかけ・連携
4.事業計画(3カ年計画、平成28年〜30年)
1年目(平成28年、2016年度)
各地域の資源掘り起こしと蚕糸王国信州の物語策定
連携体制づくり、相互地域の訪問・交流、資料・データの蓄積、年度末シンポジウム
住民参加で各地の蚕糸業遺産をめぐりながら住民が地域資源の掘り起こしと資源データ 作成(データの蓄積・共有=オープンデータ化)を進める。 ※各地域の物語づくりがそれぞれの地域活動になるように啓発していく。
それと並行して、専門家チームによる「物語(ストーリー)策定」を行う(連携自治体 に対して日本遺産申請の後押しをする)。