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みんなの山梨アルバム「新笹子隧道の開通」

分類: 催事 撮影地: 大和村 撮影者: 中山梅三 撮影日: 不明
(登録日: 2006/11/20 更新日: 2018/01/30)


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1958/12/07 新笹子隧道の大和口前

 昭和33年12月7日(晴)、朝10時から大月市東小学校で開通記念式が開かれた後、岸道路公団総裁と天野知事らは笹子口において約3000人の県民と共に開通を祝いました。
 これは総裁と知事の車を先頭に百数十台の自動車の列が新隧道を進み、約5分で通過して大和口から出て来たところです。
 隧道は全長2953m、蛍光灯451個、排気ガスの充満を防ぐため路面下に換気設備があり、事故急報用自動信号機、応急電話、救護車、レッカーも常備され、最高の設備を誇っていました。
 この大和口でも日の丸の旗を手にした約2000人が出迎え、お祝いをしました。
 この後、自動車は県民会館で行われる祝賀会会場までパレードをしました。
 


新笹子隧道の開通について

 山梨県が京浜地域という大消費地に隣接しながらも当時経済発展が停滞していた理由の1つは四方を急峻な山で囲まれているという地理的悪条件にありました。昭和26年山梨県知事に当選した天野久氏は、「富める山梨」実現のための柱の1本として、東京と山梨を直結する道路の整備を進めました。
 すでに昭和11年に自動車道路として笹子隧道を通る国道(現在は県道212号)が開通していましたが、この道は未舗装で、30カ所の急カーブがあり、雨や雪のため通行が止められるというもので、事故も多発しました。多くの自動車はわざわざ遠回りをして御坂峠経由で東京へ行っていたそうです。
 県は昭和28年、この道よりずっと低い位置に長大な隧道を開削して山梨―東京間の時間的距離を短縮する計画を立て、30年に建設省によって着工、31年に道路公団に引き継がれ、33年に新笹子隧道は完成しました。3年間の歳月と総工費12億8500万円をかけた笹子有料道路<2953mの新笹子隧道+50mの不動隧道+9つの橋梁を含む3265mの道路。総延長6268m。>の完成でした。御坂越えに比べて距離にして30キロ、時間にして1時間40分、笹子隧道を通る道に比べて距離にして8.6キロ、時間にして40分の短縮でした。知事が財政難の中、中央への働きかけを繰り返し、この工事を政府の交通整備計画により発足した日本道路公団の直営工事に編入することに成功したことは大きなことでした。
 新笹子隧道を中心としたこの国道二十号線の全面的改修は、高度経済成長時代に間に合い、それまでの鉄道輸送(中央線・単線)と不完全な道路に頼っていた山梨に様々な好影響を及ぼしました。養蚕中心だった山梨県の農業は、農家の収入を大きく増す良質で希少価値の高い果物(現在の「果樹王国山梨」の基)、野菜、卵、乳製品の生産に移行しました。京浜地帯の市場進出のため近郊農業を目指したのです。また、豊かな自然のある山梨は自動車で2時間半という便利さのため観光客が増加しました。第三次産業の進展と言えるでしょう。交通インフラの整備により県内建設業を急成長させたこともあります。1人あたりの県民所得も1人あたりの国民所得に対して、昭和29年全国比78%から40年には90.7%になりました。
 新笹子隧道開通の日は、山梨が新しい第一歩を踏み出した日となりました。

参考資料
山梨県の百年(有泉貞夫編著)
大和村誌(大和村役場発行)
笹子峠(山梨県民新聞社発行)
躍進する山梨 -新笹子隧道開通記念-(新笹子隧道開通記念県民祝賀実行委員会編)
山梨日々新聞(昭和33年12月8日付)
ビデオ・新笹子トンネル(山梨県政映画No11)

(26件)
01 新笹子隧道の入り口は人だかり 02 日の丸を振ってパレードを迎える住民 03 山梨県広報課の車 04 次々と続く車
05 バスもパレード 06 喜びで元気に振られる旗 07 車のパレード 08 祝賀にくり出した大和村の消防らっぱ鼓隊
09 大型バスでも楽にすれ違うことが出来る幅 10 地元大和村のパレード 11 車のパレードが終わった。さあ、私たちの番。 12 祝賀にくり出した大和村の消防らっぱ鼓隊
13 祝賀にくり出した大和村の消防らっぱ鼓隊 14 不動隧道側からもパレード 15 不動隧道側からもパレード 16 祝有料道路開通
17 新隧道を通る 18 軒先に国旗を掲げてお祝いする家族 19 この道がゆるやかに東京につながる 20 山間を貫く自動車道
21 新笹子トンネル開通記念「オートバイ、バイク安全運転レース」 22 レースを見守る人 23 にこやかな住民達 24 事業の石碑
25 国道二十号線遠景 26 国道二十号線遠景

中山梅三氏の作品について御存知の方、御意見のある方は御連絡下さい。

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