フリー討論
●●コミュニティ通貨とGETS
前川/それでは始めます。
もう少しお話の続きができるといいかなと思います。
それから、前々回の時、「ITを阻む壁」のお話が伊藤さんからありました。
若者が使えない人に教えていって楽しさを発見してもらうと、社会全体で楽しんでもらえるという意見がありました。そういう結論でした。
それから、もう一つコミュニティ通貨の話。
このWebフォーラムから沸いた話ですが、実は前回Tさんのほうから、何かやっていく仕掛けとしてコミュニティ通貨はいいんじゃないのという話になり、MLでもお知らせしてるので状況はおわかりでしょうが、そのためのグループを立ち上げたので、関心がある方はTさんにメールを送ればMLのメンバーになれます。
コミュニティ通貨の話は、なかなか実行を伴わないのが実情で、鶴岡では券を発行して始めています。リーダーシップをとる人が居なくて、立ち上げてもそのまんまというところもあるようです。
今ちょうど、山形市でバーチャルシティの構想があって、3月から実行される予定です。
ICカードというのがあって、情報を広く出来るわけだが、たとえば、何かを買ってお店でのポイントがたまるとか、いろいろな使い方が出来る。
どういうふうに活用するか、アイデアが出されて、実際にサービスが始まるので、コミュニティ通貨も一つおもしろいものかと思う。
絵に描いた餅ではなく、現実にバーチャルシティのようなものが立ち上がってきたので、そこに乗せるのは可能性の高いことなので、これからまだ始まったばかりだが、徐々にやっていきたい。
オープンソースの話も引き続きしたいが、コミュニティ通貨をネット上で管理するというのもひとつある。
GETS(ゲッツ)という、コミュニティ通貨を運用するシステムがある。
管理するシステムがフリーソフトで出ている。
山形の自分達の力でできる。
さらに機能を加えたいときは、実は密接につながっていて、関連性がある。重なり合っている。
●●ユーザに厳しい製品ソフトの契約の縛り
オープンソースだが、たとえばライセンスのような説明は難しいですか?
ソフトウェアに関する権利は、たとえばマイクロソフトのオフィスでは、契約利用条件が書いてあり、一方的に都合のいいことばかり書いてきて、何かやれば、権利を侵害したとか、提供者にとって、都合のいいことを並べる。そういうのが常である。
世の中で幅をきかせているのは、マイクロソフトだがそれををつぶすと、次の第二の勢力が第一になってくれば、少し変わってくるかな。
とにかく、マイクロソフトの中で、これが良かったというものがない。
家内が使っているAccessを使ってみて「なにこれ」と驚いた。
前々からデータベースは使っている。
以前オラクルというソフトを使った。
普通パソコンで誰でも使えるデータベースは簡単だが、本当に、エンドユーザーが使えるものは簡単。
ファイルメーカーというソフトも使いやすい。
説明見ないでもデータを入れるだけで、データ管理ができる。
簡単なことが簡単に行かない。
オフィスもエクセル、Wordもだんだん使いにくくなる。
非常に使い勝手が悪くなってきている。普通はだんだん使いやすくなるのに。
とても使いにくくなっている。
やたら重い。
これは主観を伴っている話なので、程々に聞いてください。
それに対してもの申しても意味がない。
世の中でみんながそれを使っているとそれを使わざるを得なくなってくる。
文章を書くというのがWordを使うのが当たり前になると、Wordを添付して送ると、ソフトがなかったり、パージョンが違うと読めなかったりする。
エンドユーザーの誰もが使っていると思っていると実は違う。
そういうものだと思っていると世の中そうではない。
対抗するものがないと、一人勝ちの世界で進歩がない。
寡占状態はよくない。
多様な価値観があるので、自分たちのニーズに合ったものを選んでいく権利がある。
オープンソースソフトがその力になりうる。
●●CVS、バージョン管理もオープンソースで
本間/コミュニティ通貨のオンライン決算をするという話があったが、GETSはオープンソースとして開発された。
オープンソフトの中ではたくさん例があるのですが、ゲッツはCVSでバージョンを管理する。(プロジェクタ画面に http://sourceforge.net/ の中のGETSプロジェクトの表紙を表示して)いろんなお膳立てがこの中でできていて、ここで一覧して、バグがどういう風に報告されているとか、パッチがどうとかユーザーからのフィーチャーリクエストなどが扱えるようになっている。
そこにはユーザからの要求も入ってくる。メーリングリストもある。
ドキュメントマネージャーはCVSで管理。
ゲッツのML、タスクマネージャーというのもある。
調査とかリポジトリというのもある。
ソースを開発者が持ってきて変更して戻す。
バージョンとか付帯情報とか、付帯状況がついて保存されているので混乱しない。
誰でもここに参加して、ソフトの開発にたずさわることができて便利。
前川/これを使って即、運用と言うわけには行かないんですよね。
本間/これを使うにはCVSのクライアントを入れておく必要がある。
実際にやってないので分からないが、自分のところにCVSを持っている必要がある。
前川/特に手を加えないでインストールして運用すれば始められますか?
本間/一人から始められる。
GETSの場合、開発者は5人です。
プロジェクト・リーダーは確か東大の人がやっていた。
最近は活動が止まっているようだ。
オープンソフト開発の場合は、だれがどこに貢献したかわかるのが重要になってくる。
アーカイブの中に残りますし、それが開発者の誇りになる。普通は開発者が属する会社の名前だけになるが。
誰が開発したかがわかり、それが励みになって開発する。
前川/PopCornでもこれを早く導入しなければならない。
PopCornは開発参加は少ないが将来はある。
本間/ドキュメントもできる。
アーカイビングということで話を大きくすると、我々が生まれて死ぬまで情報をアーカイビングしてるわけです。
全部履歴をとって記録してある。そう考えて進めていけば面白い。
前川/まずこれをPopCornで試せばいいのかな。
それで少し練習をして、試行錯誤して行けそうなとき社会に展開して行けばいい。
●●オープンソースのユーザコミュニティが開く可能性
Kさんは、オープンソースでプロジェクトを作って工夫していることありますか?
考えていること、工夫していることなど。
K/いまのところ具体的なことはない。
こういうサイトを利用して、マニュアルあるとか、ソースよりマニュアルの方がそれが頻繁に変わるのでみんなで開発していったほうがいい。
CVSのサーバを自分でやると苦労がある。手軽なのを利用してやるといい。
前川/私も状況が同じで、ソースはできるが、マニュアル作りがたいへん。
やっぱりマニュアルは第三者の利用者の視点でつくるのがいい。
その辺のシステムの理解が出来る人が、またはエンドユーザーの立場のほうが、何をどういう風にしたらいいかわかってる。
開発した人がマニュアルを書くと、何をいってるのかわからない。
PopCornのマニュアルもそうなってると思う。
マニュアルをつくった南波さんもそうだと思う。
エンドユーザーの立場で書くことができたらいいが、なかなか時間がない。
コミュニティの中で、「私が書きたい」「貢献したい」と言ってくれるようになるといい、そういう期待をもっている。
ソフトウェアの難しいところは、わかる人はわかるし、わからない人はわからない。
この壁をどのように乗り越えられるか、乗り越えられないか、興味をもっている。
技術的なマニュアルがかかわってくるので、専門的で参加しにくいというところがある。
そこを乗り越えられるか。開発者と利用者の間の壁があると思う。
オープンソースはそういう意味では両者が分かれた世界で、そこに境界線がある。
PopCornもオープンソースにもってきてよかったなと思う。
この会も新しい交流を提供する場になっている。
メリット、デメリットを考えれば、メリットの方が多い。
PushCornを使って、誰でもやれるように考えていたが、見切り発車でやってもけっこう使える。
難しい方のPopCornを先にやってしまった。
私こんなサイトを作りましたなんていうのがけっこう出てきたりしている。
期待以上の波及効果があった。
結構「私もできます」と言う人がいて、そういう人がいると、社会貢献したような気になる。
さらに大きな広がりをもたらす、そういう展開もできるでしょうね。
オープンソースは開発が出来る人のコミュニティでしょうかね。
世の中の多くのものは・・・、どうですか?
金子/ユーザーのコミュニティがあり、ユーザー側で発展していくんじゃないかなという感じをもっている。
前川/Kさんのコミュニティではユーザーが多い?
K/ユーザーのコミュニティがあり、ユーザー側で発展していくんじゃないかなという感じをもっている。
ソース公開により、自分にもできると思って入って行く人がいると思う。
英語版を作ってほしいとボーイング社の人に言われた。
英語が全然出来なくて、シアトルの人が翻訳をしてくれることになった。
ソースを送って、そういうつながりでやっていけるといい。
英語版は世界に通用するので、広がりができる。
そういう点ではいいなと思った。
前川/ありがとうございました。
●●オープンソースの資金源は?
前川/オープンソースの視点で言うと、ソフトウェアは金儲けという意識があった。
資金源の確保は切実な問題であると思います。
オープンソースのお金の問題は、どのように考えられるのでしょうか?
本間/UNIXのPC版(Linux)で、すごい勢いでWindowsを追いかけてますけど、あれのいろんな(派生ソフト)バージョンをパッケージにして売っている会社がある。
市販のソフトもパッケージにして売って、商業収入にしている。
オープンソフトではソフトウェアそのものに対しての課金は禁止されているが、ソフトを使っている人の、ソフトの保守、運用をサービスしている。
前川/Tさんあたりはご存知かもしれませんね。
オープンソースのいいところをいかに消さないで、対価をもらうか。
ビジネス特許をとったりして、社会に貢献できるのではないかと思う。
PopCornの助成金事業で、金がなかったらどうするか?
大学はそれでやってますが、金は意識しない。
PushCornができたら、CD-ROMでパックして売るとか、若干でも寄付してもらうことになるかな。
5000円でも10個なら5万円。
維持管理費ぐらいもらえるかも。そんな感じですね。
本間/鈴木さんというGETSを管理している人ですが、オープンソフトでやって、寄付という形でユーザーが何名でいくら寄付と言っていた。
それがほんとにオープンソフトで許されるかどうか難しい点もあるが可能性としてある。
会費という形もあるかも。寄付というのも。
いろんな形があるが何がいいかは一概には言えない。
前川/オープンソースで金儲けというのは方法はいろいろあるが、これを使って製品にして売っちゃっていいのか。
本間/それを許容する。ライセンスにもよるがGPLなんかだとかなり厳しい。
そのときにBSDを使うとか、アーティスティックライセンスを使うとか。
商業ソフトをそこに載せてもいいとか。厳密なことは定かでないが。
商業的な使い方もライセンスによっては可能。
バイナリーで配布して要求があったらソースで配布するということがあってもいい。
前川/オープンソフトというのはプログラムの元のもの。
普通はC言語で書かれているものですよね。テキストデータなわけです。
そういうのもある。ソースを一つ一つにつけてしまうと難しい。
オープンソースと言ってるのもある。灰色の部分がある。
マイクロソフトの製品ではソースはない。
コンパイルというのですが、直接実行できる機械語でくれる。
実行できる機械語のプログラムしかくれないのです。
テキストの部分はソースは社外秘になっている。
社外秘です。それで金をもうけるのです。
普通はソースコードは見ることができないのが常識だった。
オープンソフトは実行可能なプログラムと一緒にソースコードファイルが添付されてくる。
必ず入っている。
余計なものと思うかもしれないが、オープンになっている。自由な精神をもっているという証。
そこは、一線を画す違いがある。
思想が違う。オープンソースといって今やっているPopCornはperlという言語で書いている。コンパイルする事はできる。
オープンソフトはコンパイルされる言語、ソース言語で書かれたプログラムがある。それがコンパイルされて実行される。
ソースをオープンにする。
例えばPopCornはスクリプト言語というもので、普通のプログラム言語とは違う言語で書かれている。
元々、ソースコードでしかない。
●●ASPで収入を得る可能性も…
質問ありますか?
質問/ASPで提供してお金をとることはありますか?
前川/それは考えられます。
アプリケーションサービスプロバイダーということですね。
ASPというとどうなりますか?
サービスを提供する。それをビジネスにしてお金をもうける。
プロバイダーのサービスでありますか?
/ビジネスソフトだとある。
本間/ウェブサービスでこれから出てくる。
ソープ(soap)を使ったアプリケーションとかそういう意味でアプリをどこかにおいてネット上で動かす。
プログラムが動いても処理をそこでやって、クライアントに結果を送るならソースまで送る必要はない。
オープンであるかどうかに関わらず動いてることには間違いない。
クライアントには問題でない。
前川/オープンソースは絶えず開発されて、進化しているのが大きなメリットだと思う。
ASPとはコミュニティを支える力になるかもしれない。
いろいろ考えているところがあって、PopCornをビジネスにして金儲けを考えるのは企業の人でいいかなと思うので、今回産学連携でご協力いただいている企業さんが儲かればいいと思う。
ビジネスが得意な人にまかせればいいのではないか。
現実にmmdb.netは無料でやっているのだが、仮に何の支援がなくても、ビジネスモデルではなくても、最低限の収入が得られるボランティアモデルというのもあります。
これが発展してビジネスモデルになればという思いも頭をよぎりますが。
100人ではムリなので会費制にするという考えもあります。
数を増やせば人を雇うだけのお金ができる、それが理想ですね。
広がるなら、ビジネスに展開できそうですが。
本間/オープンソースでサービスがあまり出てこなかった。
今まではウェブサービスが出てこなかったけど、オープンソースについても、ちょっと別の展開になっていくのかもしれない。
さっき言ったポイント制みたいなお金の替わりにポイントで回ったりするのかな。
前川/オープンソースでいうと、フリーソフトは自由と言う意味で、自由と言うのが根本の思想で重要。自由を自分が得るための努力という考え。
ストールマンがGPLという考えを提案した。もともとMITの先生だったが、自由なソフトウェアの開発のため大学をやめ、収入の道をたたれた。
工夫して、フリーソフトでもお金が入るようにした。
メディアを配布するという方法。
ソフトウェアは権利の塊。大学でソフトウェアの開発をする場合、一から開発しなければならないが、すでにあるものを使うと企業の守秘義務の縛りがきつくて、大学の生活も縛られて何も成果としてだせない。
収益があって、GPLの推進にきている。
自由を選ぶ選択をとったんですね。
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