1 画面で見せる小津映画 |
小津映画が再び注目を集めた理由の一つに、その映画的価値の再発見ということが挙げられる。小津の映画は、親と子の関係、そして人間の成長と死といった人間の根源的なテーマを扱っている。小津映画のユニークさは、それをストーリーで見せるのではなく、もっぱら<かたち>や<絵柄>を通して見せていく独特なスタイルに見出すことができる。
小津のスタイルとして一番有名なのが、ロー・ポジションのカメラだ。カメラは、あらかじめ決まった位置に据えられて動かない。その他にも小津映画にはさまざまな特徴が見出せる。たとえば、人物の正面撮影、画面の左右対称の構図、人物の並び合うかたちなど。また繰り返しが多いのも大きな特徴だ。
図1 ロー・ポジションのカメラ | 図2 人物の正面撮影 |
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