大淀大明神(おおよどだいみょうじん)の昔ばなし 大沼に儀左衛門という家の女中が、普段は畑仕事をしていた。仕事の合間に沼の水鏡で髪をとかしていた。ある日、女中は家に帰って来ない。探していると、沼の処にちゃんと草履が揃って置かれていた。沼の主に水の中にさらわれたのだろう。すると夜に儀左衛門の枕元に神様が立って「その晩、12時に宝物をやるから来い。」と云う。けれど、恐ろしくて儀左衛門は行かなかった。すると、ドッと水が家を打ち破って入ってきた。その時に上の沼の主が今の大明神の沼に来た。御神体は青大将だともいうし、大きな鯉を見た人もいるという。それからは蚕が鼠に食われないようにお詣りし、「姿見せねで、鼠食ってけらっしゃい。」と参詣する。後に大沼から主が南の沼に移ったといい、その時のずり痕から「沼ずり」という地名がある。
文政五年 大淀大明神 九月廿五日
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