神に対する信仰の中で、庶民の間に最も広く行き渡ったのは、豊作を祈願する「稲荷神社」である。稲荷神社の祭神は宇迦之御魂神とされており、京都の伏見稲荷大社がその総本山である。稲荷神社には狐がつきものである。祭神宇迦之御魂神の別名を「御饌津神」といい、狐の古名を「ケツ」といったことから、「三狐神」の字をあてるようになり、狐が稲荷神社の使者とされたのである。昔、狐は人里の近くに住んでおり、人々の目にふれることが多かったのである。古い家では屋敷内に「屋敷神」を祀っていることが多い。屋敷神の大半は稲荷神社で、石造の祠であることが多い。また、町内には立派な社殿がある稲荷神社がいくつかの集落にあって、その村の氏神となっており、稲荷信仰の拡がりを示している。
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