馬頭観音(ばとうかんのん) この観音は六観音や七観音としての石仏の中にもみられるけれど、独尊として造立されている。その目的とするところは、念仏供養や道橋供養、数が少ないけれども庚申供養の主尊として、あるいは西国や秩父の観音霊場にちなんだ建立も見られる。しかし、大多数の造立目的は、牛馬、特に馬の供養と結びついたものである。この観音が畜生道に配されることとも無関係ではないだろうが、頭に戴く馬からの連想によって馬の供養や無病息災の祈願を込めて建てられている。時代が下るに従って特定の死馬の供養目的で建立され、墓標的な意味を持つものも出現する。この観音は主として牛馬に関係ある職業の人たちの講集団(例えば馬持中)や個人に信仰されて石仏が造立された。建立の場所は死馬捨て場、峠や山道などの交通の難所、村はずれの追分、屋敷内など。
元治元子年 十二月十五日
馬 頭 観 世 音
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