三光山 大聖不動明王 このお不動様が祀られるようになった由緒については、古い昔いずこより徘徊してきたのか、一体の不動明王を背負ったみすぼらしい道者が綱取川の河口より道なき道をたどって川沿いに上っていった。と間もなく大きな石のそばまで来たとたんに、非常な疲れを感じ、休むのにちょうど是幸いとその大石に背負っていた不動を下ろし自分もまたその石のそばに腰を下ろしてしばらくの間疲れを癒した。 休んでいる内に何となく気持ちが安らぎ、清々しい気分になってくる。しばらくして、旅を続けようと石の上に置いた不動様を背負うとして持ち上げるが、これは不思議ビクとも動かなくなった。「これはどうしたことか」道者は考えた。この不動様は綱取川の清い流れに沿って目の当たりにした清浄な霊地にとどまりたいに違いない。無理に背負っては行けない。ここは一つ村の人たちに頼んでこの地に奉祀してもらおうと、ある家に駆け込んで今までの事情を詳しく語り明かして置いて、また何処へ立ち去ったという。御祭神は不動明王、観世音菩薩、稲荷。例祭は旧九月十五日、二月八日。
大正五年旧十一月十五日建 三光山綱取大聖不動尊 寄進者 複数氏名 刻記
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