実にエレガントで、ヨーロッパの文化が津軽の地に出現したかのような洋館です。1906年という年代、設計者が青森銀行記念館(旧第五十九国立銀行本店本館、1904年竣工)と同じ地元の棟梁・堀江佐吉です。
建物の両側の階段が塔のようになっており、日本離れしています。ヨーロッパへの憧憬がこの建築デザインに現れているのでしょうか。おそらく、当時の人々が、現実から超越したハレの空間をこの建物に感じ、弘前の知的風土を感じ取っていたはずです。今でも弘前のシンボルとして、旧弘前市立図書館のイメージがよく用いられます。近現代の弘前を最もシンボリックに表象する建築ではないかと思います。
ありがたいことに、この建物は内部も見学することができます。耐震補強なども目にみえないところで講じられているのではないでしょうか。永遠に保全し続けてもらいたい文化遺産です。
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