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報告書目次: 第3章 データベースの試作と評価 (1) 適用技術、マルチメディア形式の選定データベースの対象とする情報にはさまざまなものがある。データベース化の前段階としてフィルム、録音テープ、ビデオテープ、写真、印刷物などのアナログ記録物をどのようにデジタル化し素材化するかの検討が必要である。 データベースで管理されるデジタル素材とその対象物(物理的存在物)との関係を図8に示す。 マルチメディア技術は発展段階にあり、今後ともコンピュータの処理能力の向上、ネットワークの広帯域化、新たなマルチメディア形式の普及といった状況変化が想定できることから、現時点ではできる限り高品質でデータを保存しておくことが望ましい。併せてアナログ記録物も保管しておき、今後のマルチメディア技術の進展に対応できるよう備えておくことが望ましい。 この一方、インターネットのトラヒック(通信の混雑)は劣悪な状態にあり、わずかの容量のデータ転送さえ耐えられないほどに待たされることは日常茶飯事である。家庭では28〜56Kbps(キロビット毎秒)程度の低速回線で接続されている環境にあることも考慮する必要がある。WWWでインライン画像表示が可能な画像形式がJPEG、GIFに限られていることも考慮する必要がある。 データベースで管理するマルチメディア形式は、WWWとの親和性等を考慮し、表1の通り整理した。これらは、素材をインターネットで再利用しやすくするための選択であって、マルチメディア素材のオリジナルデータ(デジタルカメラやスキャナなどで入力したオリジナルのデータ)は将来に備えてこれらとは別に保管しておく必要がある。 (2) 静止画サイズ・ガイドラインマルチメディア素材の中でも静止画は、テキストと並び、最も実用性の高い素材である。これらは、Webページのインライン画像として利用することから目的に応じたサイズの段階を設定できるようにする。 オリジナル画像のサイズ・形式等は作成する手段により異なる。デジタルカメラの撮影による静止画は1280×1024ピクセルが一般的である。DVビデオから得られる静止画は640×480ピクセルである。ビデオボードからビデオ画像を入力する場合は320×240ピクセルが多くの場合標準サイズとなっている。スキャナから入力する場合は任意の解像度・サイズで画像を制作することになるが、印刷などの版下にも使うことなどを想定した場合はできるだけ大きいサイズとする方が望ましい。 このように条件により画像サイズに違いはあるものの、静止画の統一と再利用促進のためには、サイズの統一を図ることが望ましい。この観点から、Lサイズ(640×480ピクセル)、Mサイズ(320×240ピクセル)、Sサイズ(160×120ピクセル)のサイズ段階を設けた。 Lサイズ(640×480ピクセル)は、パーソナルコンピュータではVGAサイズとして古くから採用されたきた標準サイズともなっており、デジタルカメラによる画像、DV画像などと長辺が等倍(1倍、2倍、1/2倍)であるため、解像度の変更に対応しやすい利点がある。これらの画像は矩形であるため縦長、横長のいずれかのケースに分類される。この点からは、Lサイズ(640ピクセル四方)、Mサイズ(320ピクセル四方)、Sサイズ(160ピクセル四方)に長辺が収まる最適化を行うことでさらに統一を図ることができる。 以上の条件をガイドラインとして採用することでサイズの不統一を解決することができる。このガイドラインを図9に示す。 (3) 標準化した静止画サイズの適用静止画サイズを統一すると、Webページ一括自動生成にうまく適合することができる。 図10にその適用例を示す。この事例では、データベースのデータを「PopCorn」によりWebページとして自動生成したものである。通常は画像容量の少ないMサイズ版を閲覧し、細部を詳しく見たい場合にはLサイズ版を参照することで、利用者の必要性に応じた柔軟な情報提供が可能となる。 (執筆者: 前川道博)
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