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報告書目次: 第3章 データベースの試作と評価 (1) インターネット環境を想定したデータベース公開インターネットは全社会に急速に普及しつつあり、情報を提供・閲覧できるハイパーメディア環境WWW(World Wide Web)もまたデータベース公開環境の現実的な選択肢となってきた。『通信白書』(平成11年度版)によると、国内におけるインターネット人口は平成10年度に推計1,700万人に達し、商用利用開始後わずか5年間でインターネットの世帯普及率は10%を突破した。国内のWWWの情報量も平成10年度までの1年間の間に3.4倍に増加している。このようにインターネットの普及率、WWWの情報発信量は今後とも増加し続けていくことが見込まれている。個人が公開するホームページの数も増えてきている。 その一方、インターネットに公開されたWebサイトの情報を仔細に見ると、発信される情報の分野には偏りが見られるのも確かである。とりわけ、地域文化情報資源の少なさが目立つ。文献等の形態で発表された文化研究の成果は殆どが公開されていない。市町村、博物館等の文化施設のホームページから公開されている情報量も極めて少なく、パンフレットで提供されている程度の情報量しか公開されていないケースが多い。個人などが提供する地域文化情報にも限界があるものが多く、情報提供者の数が増加しても、その増加が情報の絶対量の増加、質の向上には必ずしも寄与していない。 このようにインターネットでの地域文化に関する情報の流通量はまだ少ない状況である。この理由にはいくつか考えられる。 1) 地域文化情報の提供者がインターネットでの情報提供者と成り得ていない事実 地域文化の研究家、地域文化に関心を持つ個人がインターネットを活用するに至っていない。 2) 情報発信技術の効果の低さ ホームページ制作に広く用いられているホームページエディタなどを用いた場合、ページ制作には時間もかかり、レイアウト等、見た目のデザインも要求されるWebサイトを制作するには専門のデザイナーが関わることが不可欠となる。情報発信に関わるこうした支援技術体系の情報生産性の限界が情報発信量の少なさの一因となっていることが考えられる。 従来、データベースは情報の網羅性、信頼性を保証するために、その分野の専門家が関わり、情報サービス業者がデータ制作を行うものと考えられてきた。またデータベースシステムは集中管理型のデータベースサーバによるものとして構築されてきた。 インターネットとWWWが普及した現在もなお従来のデータベースの通念を脱していない取り組みが行われている。 (2) ホームページとデータベースの違い情報をインターネットに提供する手段としてWebサイト(ホームページ)を選択するケースが多い。ホームページ制作の技術習得が比較的容易であること、見栄えのするページレイアウトがしやすいことなどがWebサイトを選ぶ理由にあるものと思われる。 しかしながら、ホームページとデータベースは全く性格を異にするものである。その違いを以下に示す。 ▼ホームページの特性 【ホームページの限界】 ・コンテンツにデータ(テキスト、画像など)が未分離に混在し、データの再利用がしにくい。 ・たくさんのサイトやページが林立し、どの情報がどこにあるのかを把握することが困難。 ・作成者ごとに構成、スタイルが異なる。第三者からは使いにくい。アクセスしにくい。 ・一度作成したコンテンツの更新がしにくい。誰もその更新に手をだすことができない。 ・作成に時間がかかる。なかなか思うようにデータが増えない。 ・ホームページを作り始めると、なぜか「ルック&フィール」が先行して肝心の中身が二の次になる失敗を誰もが回避できない。 ▼データベースの特性 データベースは、WebサイトやCD-ROMなどのデジタルコンテンツ、検索サービスなどのサービス、出版物、パンフレットなどの印刷物に素材やURL(ホームページのアドレス)を供給することを行うための情報基地として機能するものであり、データベース=ホームページではない。 【データベースの特長】 ・データとコンテンツが完全分離。→データの管理がしやすい。データ再利用がしやすい。 ・データが増えつづけても際限なく保存/管理が可能。 ・欲しいデータがどこにあるかを検索し取り出すことができる。 ・作成者が異なっても、データの一貫性が保たれる。 ・作成にかかる時間は取材と素材制作に要する時間。→データが増える。 (3) WWW/データベース連携システムの実用性現在、インターネットで利用できる検索エンジンはその殆どがWWWをフロントエンド環境とし、そのバックエンドで検索エンジンを駆動する方式をとっている。WWW/データベース連携システムの概念を図3に示す。 図3のように、検索エンジンにホームページ自動生成機能が付加されている場合は、きめ細かくWebページを閲覧するこができ、利用者への利便性が向上する。 (執筆者: 前川道博)
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