鏡沢の荒沢に佐平という狐がいて、人々を化かしていました。荒沢には岩魚がいるので、人々は釣りをし佐平狐は自分も岩魚を釣って食べたいと思い、熊に化けて釣りに来た人々を脅かしては釣竿を奪い、釣りの真似事をしていました。そしてこの頃、小荒沢ではおしんこ狐が小田代ではおもよ狐、上の山ではびっこ狐、赤沢ではお定という狐たちが子供や和尚に化けて人々をだまして食べ物をとって食べていました。あるとき、おもよ狐とお定狐が行き会い、うまい話はないかと話し合い、他の3匹の狐に“呼び出し状”を出し5匹で矢島の殿様が泊まっているという旅篭に行き、家来と殿様に化けてうまいものを食べ楽しみました。しかし、上の山のびっこ狐が、仲間はずれにされ面白くなく、旅篭の旦那に「あいつらは殿様や家来に化けた狐だ」と教えてしまい、旦那は村の人々を集めてその狐たちをこらしめてしまいました。
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