指定年月日 平成20年2月25日 所有者 湯殿山神社(旧本道寺) 所在地 西川町大字本道寺字大黒森381番地 員数 1枚
この絵馬は笠原景親という有名な絵馬師の作品であり、図柄は本道寺から月山山頂までの「石跳川コース」と「高清水通り」の二つの登拝路に参詣者が連なっている姿の描図であり、明治時代の後期は出羽三山参詣が盛んであったことの証になる。 更に、奉納者・浅野養太郎は宮城県に住む先導(元里先達)であり、五十三回も信者を月山や湯殿山に案内してきたことが記されており、本道寺と元檀那場との結びつきを示す意味でも意義がある。 筆者・笠原景親は渓斎と号した画家である。東京出身の人で浮世絵を揚洲周延に学び、明治初年より仙台東三番丁に住み、専ら絵馬絵と芝居看板書きを職業とした。大正11年2月15日没し、享年78歳であった。
1 奉納年代 明治25年(1892) 2 奉納目的 諸願成就、五穀成就、村中安全、二世安楽など 3 奉納者 浅野養太郎 住所 宮城県黒川郡富谷村(現在は富谷町) 4 形 長方形 5 寸法 タテ(157.0p) × ヨコ(258.2p) 〔額縁〕〔タテ181.5p〕 × 〔ヨコ282.3p〕 6 図柄 画面右側には本道寺境内と門前の集落や鳥居、上部には月山に直接登るコースである「高清水通り」が描かれている。左側には本道寺から連なる「砂子関」「志津」、更に玄海や石跳川を遡り、姥ヶ岳から月山に至る登拝路に白装束に注連を着けた参詣者が満ちあふれている様子を活写している。参詣者の中には「梵天」や「奉納 湯殿山神社」と書かれた幟状の旗を持っている者も描かれている。色彩は群青、白色、黒色、茶色、緑色、赤色の六色である。 7 銘文 上部に「奉納」と大きな文字で記されており、左側に「宮城縣陸前国黒川郡富谷村三山大先導 五十三度 淺野養太郎 明治廿五年 月 日 仙台 笠原景親 ?」と墨書されている。 8 現状(損傷の程度など)特に大きな損傷はない。
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