指定年月日 平成18年12月28日 所有者 湯殿山神社(旧大日寺) 所在地 西川町大字大井沢2884の2 員数 11基 大日寺は、天長年中(824〜833年) 弘法大師の開基とされ、応永年中(1394〜1427年)、僧道智や天文7年(1538年)勢真によって再興されたが、延宝2年(1674年)大火によって一切焼失、その後亮海は再興に努力し、利海、亮快の三代は隆盛を極め、亮衛までこの繁盛は続いた。しかし、明治36年(1903年)の火災によって仁王門を残し、他の伽藍は焼失した。 往時の面影をとどめているものに「代参塔」がある。 代参とは湯殿山信者が諸願成就のため、多額の金銭を旧大日寺に寄付し、信者に代って旧大日寺の住職が祈願し、信者は御札(御祈祷札)を受けるのである。代参は毎月が主体であるが、一季代参もある。祈願の内容として「蚕満足」もあり、養蚕に込めた思いを知ることができる。これらの代参祈願の具体的な様式や要領は不詳であるが、代参塔は寄付額の一部を用いて建立されたものである。 代参塔の性格は湯殿山供養であり、建立年代は18世紀後半に集中している。建立者は下野国(栃木県)那須郡、塩谷郡、河内郡や奥州伊達郡、信夫郡(福島県)など広く分布していたことが分かる。 代参塔の建立年は明らかであるが、具体的な建設費や寄付者の居住地の名前、世話人さらに石工名、石材の産出地、建立までの組織や経緯は不明である。しかし、この代参塔は湯殿山信仰の独特な性格の一面を物語っており、さらに旧大日寺の繁栄を偲ぶのに十分である。
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