岩根沢は月山及び湯殿山の東南に位置し、出羽神社への登拝口の修験集落である。通常、当該神社は岩根沢三山神社と呼ばれている。 旧日月寺本堂は天保7年(1836年)の火災後、同12年(1841年)に再建され、正面の向拝部分は少し遅れて安政5年(1858年)に完成した。 仏堂から客殿、座敷、庫裏等の機能を一つに併せた類例の少ない構成の複合建築であり、桁行(正面総長)66.9mという破格の規模を誇っている。 出羽三山への登拝口の建築物が殆ど失われた現在、当該神社社殿は登拝口に唯一残された中心建築であり、貴重な修験道建築の遺構として重要である。 なお、本殿正面虹梁の龍の彫刻、中国の故事「司馬温公」カメ破り等は郷土(西川町田代)の生んだ彫刻師「荒木文五郎」(後に高山文五郎)の大作であると伝えられている。
|