「第5章 ポスト蚕糸業〜過去・現在・未来〜」を分担執筆した。長野県の蚕糸業全体の歴史に言及した書籍は1937年の『信濃蚕糸業史』以来の画期的な書籍である。当初、前川が企画案を作り、阿部勇氏が編著者としてとりまとめる形で上梓された。 従来、歴史書は過去を振り返り記述するものである。前川が執筆した「ポスト蚕糸業」は現在、蚕糸業がいかなる社会的なコンテクスト(文脈)で再編・転換したかを跡づけたものである。このような観点から蚕糸業が捉えられたことはあまりないものと思われる。第5章は以下の見出しから成る内容で構成した。
「ポスト蚕糸業の視点」「ポスト蚕糸業の系譜」「蚕糸業文化の継承と歴史遺産の保全」「ファッションと着物文化の新たな流れ」「繊維工学・ファイバー工学と素材開発」「新たな蚕業となる商品開発の模索」「未来に向けた蚕糸業遺産群の活用」「信州蚕糸業の歴史と遺産群―未来への贈り物」
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