全国で「蚕都」と呼ばれている地域がいくつかあります。蚕都上田(上田市+小県郡)、蚕都熊谷(熊谷市)、蚕都梁川(伊達市梁川)、蚕都八尾(富山市)、蚕都豊橋(豊橋市)、蚕都綾部(綾部市)。鶴岡(鶴岡市)も蚕都に入るかもしれません。
それぞれ江戸時代からすでに蚕糸業が盛んであった地域もありますが、「蚕都」と呼ばれる背景には近代の蚕糸業の中心地であったことがあります。この中で格別に古い歴史を持つ地域の一つが梁川です。江戸期、梁川は全国一の蚕種製造地となり、安永年間(1772〜1780)には、幕府から「蚕種本場」の称号が独占して与えられました。
江戸後期になり、蚕種製造は信州、とりわけ上田小県が主役に躍り出ます。しかしながら蚕種製造は梁川が先行し、圧倒的なシェアを誇っていたことは特筆すべきことです。
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