早朝の大地震の影響を受けたにもかかわらず、無事、国立文楽劇場に到着することができました。劇場の前で写真を撮りました。
これまで文楽は東京の国立劇場小劇場で観てきました。「文楽を観るなら大阪で」という思いがやっとかないました。国立文楽劇場に文楽を観に行くことを思い立ったのが10年以上も前のことです。ふり返ってみればその間がとても長かった。
現在、東京の国立劇場小劇場、大阪の国立文楽劇場で定期的に公演が行われています。国立文楽劇場の4月公演で初めて大阪での文楽を見聞しました。
国立文楽劇場は大阪の難波にほど近い日本橋(にっぽんばし)にあります。千日前通に面しています。劇場の場所は、文楽の発祥の地と言ってもよい竹本座の跡の近くにあります。竹本座はかつて近松門左衛門の数々の作品が上演された劇場です。竹本座については、回を改めて触れます。
文楽は大阪が本場(地域文化)である。このことを文句なしに実感しました。また、国立文楽劇場がたいへんよい。この2点を価値認識できたことが今回の一番の収穫です。
大阪は東京とは決定的に違う何かがあります。
一つ。観客層の違い。東京では古典芸能を鑑賞に和服を召された方々が多く来られていました。大阪はこの辺の雰囲気が大きく違っていました。着物の方が東京に比べて非常に少ない。それほどおしゃれをするわけではない服装の方、逆にど派手な洋服の方が多い。文楽は大阪の地域文化である。観客の反応もよい。このことを否応なしに認識しました。
一つ。劇場が文楽の物語の背景となる大阪そのものである。これは大阪に来てみて感じることです。劇場が大阪の街中にあり、最も大阪らしい道頓堀や難波の辺りと連続しています。
一つ。劇場は明らかに大阪の方がずっとよい。劇場も東京に比べて広く、座席もよく、舞台も立派です。字幕もステージの上部に表示されて見やすい。東京の国立劇場小劇場は年代が古いせいかもしれませんが、よいとはいいかねます。座席が悪い。長く座っているとお尻が痛くなってきます。ステージの設備の善し悪しは上演の質の善し悪しに直結します。
一つ。アクセスの便の善し悪し。国立文楽劇場は大阪の繁華街、難波や道頓堀にもほど近い日本橋(にっぽんばし)にあり、アクセスがよい。東京の国立は地下鉄の駅からも遠いなどアクセスが悪くていつも困ります。
要するに文楽の地元は大阪なのです。東京での文楽公演は出前公演と思ってもらう方がよい。確かに演じる方々は同じ方々であっても、環境も雰囲気も違います。
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