「島村渡船」は「しばらく運休」という掲示がされていました。渡船は利根川を挟んで両岸に離れている伊勢崎市境島村の通行を担う交通手段なのではないかと思います。この時代にあって渡船が長く運行されてきたことの意義を感じました。
渡船はともかくも、利根川の縁にある田島弥平旧宅の駐車場に戻り、利根川の堤に登って周囲を見渡してみました。利根川の土砂が育んだ肥沃な土地であることが想像できます。洪水が多く、耕地には桑の栽培が適していた状況もよくわかります。ここが蚕種製造の中心地になったことがわかります。
堤の上に群馬境ロータリークラブが寄贈した明治18年測量のこの周辺の地図があります。参謀本部陸軍部測量局が作成した地図です。驚くべきことは利根川本流の流れです。
上野国（群馬県）は利根川を国境とし、利根川の北側に広がっています。上野国に属する島村だけは、利根川の南岸に利根川に隔てられてその一画だけが離れ小島のように存在しています。境界を接する地域が埼玉県であることがこの地域の特殊な成り立ちを物語っています。利根川南岸に接する島村のこの周辺は字新地、字新野、字新田であることがこの地図からわかります。「島村蚕種業績之地」碑に刻まれていた地域名がこれと一致しました。
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