分類: 写真の展示履歴 撮影地: 甲府市 撮影者: その他 撮影日: その他 (登録日: 2017/07/18 更新日: 2018/01/30)
2017年7月1日より8月20日まで、山梨県立美術館にて「フジフィルム・フォトコレクション『私の1枚』日本の写真史を飾った101人」が開催されました。 今回の特別展は4つのカテゴリーに分かれています。1.フジフイルムのフォト・コレクション「私の1枚 日本の写真を飾った101人」2.山梨日日新聞社所蔵の古い山梨の写真展3.山梨の昭和を撮影した「山梨の写真家」展4.一般募集の思い出の「私の1枚」この3番に当研究会会員が所蔵し、研究会で写真を公開している中山梅三氏の写真が6枚、研究会がデジタル画像の使用許可を頂いている内田宏氏の写真が6枚展示されました。フジフィルム・フォトコレクションと共に、中山氏、内田氏の写真を多くの皆様に御覧頂く良い機会になりました。 6月30日午後2時より、オープニングセレモニーが開かれました。当研究会からは3人の会員が出席しました。その時の様子を記録します。<オープニング・セレモニーの様子>山梨県教育委員を代表して、奥田正治教育監より御挨拶 (要旨)(オープニングセレモニーに集まった人達に御礼、開催に協力した関係各位に感謝、特別展を県教育委員会と共に主催する山梨日日新聞社、山日YBSグループに創業145周年を迎えたことにお祝いを述べた後) 山梨県立美術館ではより多くの皆様にお越し頂けるようテーマや展示方法を工夫して年4回特別展を開催しています。今年度2回目の特別展となる「フジフィルム・フォトコレクション 私の1枚 日本の写真史を飾った101人」は、幕末明治から現在に至るまでの日本の重要な写真家101名による「この1枚」と呼べる代表作を展示、日本の写真史の軌跡を紹介するという企画になっています。日本の写真の黎明期の作品から1900年代の芸術的な写真、1930年代の新興写真を経て、戦前戦後に活躍した木村伊兵衛、土門拳、現在も活躍している荒木経惟や篠山紀信などの日本写真史を語るに欠かせない作品を展示、本県にゆかりのある富士山を撮影した岡田紅陽、本県出身の山岳写真家である白簱史朗の作品も含まれています。更に山梨の昭和を撮影した「山梨の写真家展」、県民から寄せられた 思い出の「私の1枚」を展示するコーナーもあります。関連イベントも用意しているので、多くの人に写真の魅力・素晴らしさをより一層堪能して頂きたい。今後とも山梨県立美術館に温かい御支援御協力をお願いします。次に、主催者を代表して山梨日日新聞社・西川常務取締役より御挨拶(要旨) 本日はお越し頂き有難うございます。 私は数年前まで新聞記者をやっており、今のようなデジカメの時代ではなく、フィルム写真を自分で現像していた時代からカメラを片手に県内を飛び歩き、先輩や上司に怒鳴られながら腕を磨いてきました。自分の中で良い写真というのは非常に雄弁で何十年経っても写真1枚で全てがわかるというくらいの説得力があり、出来の良い写真は素晴らしい主張をすると教わって来ました。今回の展示を見れば、日本の写真史が手に取るようにわかる上、写真家の個性、思想、時代背景が読み取れます。山梨日日新聞社からも山梨のコーナーで10点ほど写真を提供しているので、写真を通して歴史についても知って頂きたいと思います。 特別展の開催に当たって県教委、フジフイルム等の関係者の皆様に感謝すると共に、展示を楽しみ、多くの方が美術館に足を運んで頂けるよう御協力下さることを願います。次に、来賓の富士フイルム株式会社、フジフイルムスクエア館長、島田知明様より御挨拶(要旨)(フジフイルムのフォト・コレクション「私の1枚」 日本の写真史を飾った101人 の県立美術館における立派な展示に御礼を述べた後、コレクションを説明) 2014年富士フイルム株式会社創立80周年を機に「日本の写真文化を守り、育む」ことを目的に、当コレクションを立ち上げました。幕末明治から現代に至るまで日本を代表する写真作家の記録的価値の高い最高写真を収蔵させて頂き、皆様に御覧頂くことで写真文化の維持発展に貢献することを基本理念としました。これを収集するに当たって、今御存命ではない作家さんも沢山いらっしゃいますが、一軒一軒こちらからお邪魔をさせて頂いて、コレクションの趣旨を伝えました。今回101点、作品を御提供頂いた先生方には本当に快く「そういうことだったら私の作品を出そう」と御協力を頂きました。もしかしたら他の作品の方が有名なのではないかと思われる作品もあるかも知れませんが、実は御本人が「いや、俺の作品はこれなんだ」という1枚をお出し頂いており、本当に御自身が自分の代表作として皆さんに見て頂きたい1枚をコレクションしています。 フジフイルムスクエアが10周年を迎えたことを機に、日本の写真史・写真界の発展の軌跡を御覧頂きたいと、本コレクションはこちらのように展示環境が整い、名作をご覧頂くのにふさわしい施設に無償で貸し出しさせて頂いています。この活動は2015年公益社団法人企業メセナ協議会から芸術文化振興における社会創造活動、「THIS IS MECENAT」に認定され、今年2017年も更新されています。 コレクションには山梨県にお生まれになった作家で、今御存命でますます活躍されていらっしゃる、私共本当にお世話になっている白簱史朗先生の作品、それから日下部金兵衛とおっしゃる幕末明治の作家の作品が入っています。 富士フイルムの事業は多角化しており、写真の事業は会社全体の売り上げの中でのウェイトは大きく下がりました。デジタルの技術が飛躍的に向上し写真事情も大きく変化している中、今回御覧になって頂く写真は、光に感じた銀が現像液を通して化学反応することで写真として画像を作るという銀塩の時代の1つの総括ということになっています。この時代に作られた最高の作品を是非御覧になって下さい。 私共はメセナ活動を通じて、写真のある楽しい豊かな生活をして頂きたい、皆様の健康と幸せのために何かお役に立ちたいと思っています。どうぞ作品をお楽しみになって頂ければと思います。有難うございました。最後に、特別展の見所なども含めて青柳正規館長の御挨拶(要旨) 3.11が起こった後、家屋敷を流された方々が一番初めに探した物は何かというと、自分の家のアルバムなんですね。自分の家族の思い出が生きて行く為に一番必要だったからです。人生というものはある意味で思い出作りであり、その思い出作りの成果がアルバムに蓄積されているからです。 家族全員が集まった時や誰かの誕生日の幸せな瞬間を写真に撮っておいて後々楽しんだり、旅行先の素晴らしい景色を帰宅後に一緒に来ていない人に見せたりするのが、我々の身近な写真の一番重要な役割です。一方写真家達が撮る写真というのは一種の特殊な観察眼なのですね。例えば、お百姓さんは稲の葉の色で干ばつ気味かどうかがわかり、畜農家は見るだけで動物が元気のないことがわかります。これは普通の人には全く分からない現象ですけれど、実際に毎日毎日同じものを見ている人にとってはその小さな小さな変化が非常にはっきり明確に分かる訳です。人間の目というものはそれぞれの人が持っている関心の対象によって本当に違ってきます。写真家の目というものも我々が当たり前のような日常的に見過ごしている中で彼等は何か面白い、或いはあり得ないような状況が自然の中に生まれているということを観察しながら、それを一瞬という時間の中でカメラの中に奪って来る位の力で写真を作っていく訳です。 その写真家の、それも本当に優れた101人の写真家達が御自身で選んだ作品だけを今日御覧頂くことが出来ます。日常生活を取り巻いている中でこんな光景があるのかとか、様々なことをこの写真展を見ればお考え頂けると思います。我々の日常的なものの中に何と素晴らしい何と驚きのあるものがあるのかということで、日常の中ででも実は素晴らしい空間の中で我々は生きているということを写真展の中から読み取って頂ければ大変に有難いと思います。 先程御紹介がありましたように、富士フイルム株式会社から来た101人の優れた写真家による写真と、山梨を対象としてきた4人の作家、それから山梨日日新聞社が持っている古い山梨の写真、それから今生きている方々が応募して下さった写真、そういう4つのカテゴリーがある訳ですから、それを是非比べながら見て頂き、御自身のお子さんやお孫さんや周辺の友達にも写真展を見させてあげて、日常の世界がどんなに素晴らしいものかをもう一回確認して頂ければと思います。是非楽しんで下さい。その後、テープカットが行われ、内覧会となりました。<会員の感想> 幕末明治期から現在に至るまで、それぞれの写真家が表現したいものが緊張を持って伝わって来ました。どうすれば表現できるか、究極の1枚の写真に掛けるその努力!また、人はそれぞれ惹かれるものが違い、どんなテーマで写真を撮っても良いのだとも気が付きました。展示内では写真技術の変遷も知ることが出来て、興味深かったです。 中山氏は「みんなの山梨アルバム」でも御覧頂けるように身近な山梨の人々の日常を撮影しました。写真展に飾られた作品の中で「雪の日のおでかけ」の真知子巻きのわんちゃんをとても気に入って下さった方もいらして、「犬が緊張していない。中山さんはいいですね!」と仰っていました。 内田氏のパネルは山梨県立博物館が提供していますが、地域資料デジタル化研究会のホームページで御覧頂けるものも含まれていました。農業改良普及員として、農家の日常が撮影した写真でした。農家の生活向上に役立つ動物にも人間と同じく平等な目が向けられています。