山中湖は富士五湖の1つで、山梨県南都留郡山中湖村にあります。面積6.4平方キロ、周囲14キロ、標高981メートル、最大深度は13.3メートルであり、富士五湖の中で、最も広く、最も標高が高く、最も浅い湖です。ここには豊かな自然環境を求めて多くの人が観光に保養に訪れます。
みんなの山梨アルバム「冬の山中湖」で紹介するのは、昭和30年前半に撮影されたと思われる冬季レクレーションの様子です。平成の世では山中湖がこのように凍ることはなくなってしまいましたが、間近にある雄大な富士山をバックにスケートや釣りをするのは、さぞかし気持ちが良かったことでしょう。また、地元の婦人のもてなしは訪れた人々に喜ばれたことでしょう。
平成4年発行の山中湖村史第4巻から、関係する部分を以下に抜粋します。
昭和三十年頃になると、山中湖畔平野地先がスケート場となり、週末には多くの観光客が流入しはじめた。また湖上でのワカサギ釣りもはじまった。最盛期の日曜日には十万人もの人々が流入し、地元農民はこぞって荷物預かり、貸スケートやジュース売り、そば・うどんなどの飲食業を営み、一日で五〜六万円の稼ぎであったというほどであった。当時の日雇人夫の日給が約三百円であったことと比べれば、観光業が現金収入を得るのにいかに最適であるかを地元農民は身をもって体験したのであった。冬季のスケート客は、その後富士急ハイランドに大規模な人口スケート場が開設[NPO法人地域資料デジタル化研究会注:オープンは昭和36年]されてからは来なくなり、スケートブームは去ったが、この一時期における地元民の観光業への参加は、以後の農業から貸寮・民宿経営への転換をとげる過程で、貴重な体験として観光業経営に生かされたものと考えられる。(山中湖村史第4巻P.129より)
|