上田市指定文化財 旧上田市立図書館(現石井鶴三美術館) 種別 有形文化財・建造物 所在地 上田市大手二丁目五四七〇番地一 所有者 上田市 指定年月日 平成五年二月三日
大正四年(一九一五)、上田男子小学校同窓会は、一般市民の寄付を募り、「明治紀念館」を建設しました。この建物は、図書館機能を備え、大正十二年(一九二三)年に上田市に寄付された後も、上田市立図書館として、昭和四十五年(一九七〇)まで利用されていました。 大正時代の近代洋風建築には、明治以来の派手で力強い流れと、優しい表現を主とする二つの流れがあります。この建物は、後者の代表例です。凹凸の少ない壁面処理や、浅い軒の出、マンサート屋根(勾配が途中で変化する屋根)など、建物全体が一つの面に包まれているような意匠、壁面の各所にはめられたパネルなど、一九世紀末〜二〇世紀初頭に世界のデザイン界を席巻した「アール・ヌーヴォー」の流れを汲む、長野県の代表例です。 近代の上田市は、「蚕都」の経済力を背景に、学習・芸術活動が盛んで、革新的・先取的な気風が支配しており、この建物は、そうした時代を伝える文化遺産としてきわめて貴重なものです。
平成五年七月一日 上田市教育委員会
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