蚕種製造の一大中心地であった塩尻地区(上塩尻、下塩尻、秋和)には現在もなお蚕種製造民家が数多く残り、その町並みは歴史的な景観を成している。塩尻地区の建築・景観はこれまでに何度となく学術的調査、政策的調査の対象とされてきた。しかしそれらは不連続になされ、過去にどんな調査が行われたかすら社会から忘れられているのが実情である。全国的にも稀有な蚕種製造民家群はこれまで何らの保全対策が講じられることなく、今もなお空き家化、更地化が進行しつつある。
塩尻地区は近世・近現代の文書を数多く残している点でも特筆される地域である。藤本(佐藤本家、藤本蚕業)の文書をはじめ、上塩尻地区には数多くの文書、絵図等が存在する。これらの文書の保全・活用も待たれるところである。
本会では、塩尻地区の蚕種製造民家群の保全・活用、文書群の保全・活用を課題として提起し、まずは、それらがどんなものであるのかを地元塩尻地区の方々、地域づくり・建築・歴史等に関心のある方々にご参加いただき、未来に向けた地域課題共有の一歩としたい。
(呼びかけ:前川道博)
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