上田市指定有形文化財 依水館(いすいかん) 指定 平成十八年(二〇〇六)一月二十七日 所在地 上田市上丸子一九二〇番地 所有者 上田市
依水館は、大正七年(一九一八)六月、製糸結社・依田社により建てられた迎賓館施設です。戦中戦後と個人の手に渡り住宅として使用されていましたが、平成十四年十一月に丸子町が土地と共に取得しました。 平成十五年十二月には、築後八十七年を経過したこの建物が、造形の規範になっているものとして、国の登録有形文化財に登録されました。 平成十八年一月、丸子の製糸業の史跡としての意味を兼ねて、客殿と玄関部分(二二二・二七m2)が丸子町有形文化財に指定されました。 平成十八年三月六日の合併に伴い、上田市有形文化財に指定されました。 木造、平屋建、L字型の平面形をしており、かぎ型に折れた部分に入母屋造の玄関がついています。屋根は桟瓦葺、下屋は鉄板葺で、廊下廻りはガラスを多用しています。座敷は、床・棚・付書院などを備えた端正なつくりで、窓や欄間なども凝って作られています。全体に大正時代の建物の特徴をよく示しています。 依水館が建築された大正七年、依田社は、四、五〇〇釜、一〇〇、〇〇〇貫の生糸出荷量を記録しており、丸子の製糸業は全盛期を迎えていました。 大正十二年(一九二三)四月、当時最大の生糸輸出国であったアメリカの絹業協会派遣のゴールド・スミスら一行が丸子を訪れ、工場を視察した際に依水館で接待した記録が残っています。依田川の清流を眼下にし、丸子の移り変わりを見届けてきた依水館は、丸子の近代化を後世に伝える数少ない文化遺産といえます。
上田市教育委員会
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