千曲川シルクストーリー第1日の最後の最後、上塩尻の小岩井紬工房を訪れました。
日本三大紬の一つ「上田紬」が蚕種製造地・上塩尻との因果関係があります。蚕種製造は通常の養蚕と異なり、繭の中にいる蛹を繭から出して産卵させます。そのため、繭を切って蛹を繭の中から出すため、大量のくず繭が出ることになります。これらのくず繭が紬の原料となります。
訪れる方々が紬工房で手織りの作業を目にするのは初めてのことです。それだけでも興味深い上に、草木染にも目が釘付けでした。信州の産物、リンゴの木から染色すると黄色味の美しい色合いになります。ふじ、秋映え、シナノスイートでその色合いがさらに微妙に違う。紬糸の色をどのように何で染めているのかだけでも興味深いものがあります。
上塩尻におけるシルクストーリーは、蚕種製造で生み出されるくず繭から紬が紡がれるというものです。小岩井紬工房はいくつかある上田紬の工房の中でも唯一手織りをしている工房になります。考えてみれば、手織りの紬工房にこんなに気楽に見学に来てしまってよいものかどうか。蚕種製造の蛹は蚕種、くず繭は上田紬、この図式を持って「上塩尻と蚕種製造」を物語ってみましょう。
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