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韓国歌曲「鳳仙花」(봉선화)

カテゴリ: 演奏・音源セレクション 地域: どこか
(登録日: 2024/02/02 更新日: 2024/09/30)



봉선화(김형준 시, 홍난파 곡)...Sop.박순정 / 2015 우리가곡의 날 11주년 기념음악회
(YouTube「최병헌Choi ByungHun」チャンネルから埋め込みコードにより参照)

YouTubeで見つけた「鳳仙花」の一つです。ソプラノ歌手パク・スンジョンの歌唱。さりげなく歌っているのがいい。2015/11/11、洪蘭坡(ホン・ナンパ)の家で開催された「韓国歌曲の日11周年記念音楽会」で歌われたものです。この会場のサロン的な雰囲気もよい。

「鳳仙花」が作曲されたのは1919年、3.1独立運動が起きた年に当たります。朝鮮が日本に支配されていた時代、人々の抑圧された悲しい心を歌った歌とされています。韓国で初めての歌曲としても知られています。

♪垣根の下に佇む鳳仙花よ、お前の姿が清涼だ(あまりにも物悲しい)
この歌詞は言葉の響きがよく、韓国語を習い始めた頃から私にとっても愛聴の曲の一つとなりました。特によいのが「ポンソンファ(鳳仙花)」という言葉の響き。このYouTube動画もタイトルは「ポンソンファ」ですが、パク・スンジョンさんは「ポンスンア(봉숭아)」と歌ってしまっています。スンとアの間はエリジョンして日本語の鼻母音「スガ」と同じ音になります。この原因は楽譜にその部分が「봉숭아」と書かれていること。私が買った韓国歌曲集にもそう書かれていました。タイトルが「봉선화」なのに、何故に楽譜にそう書かれるのか、困ったことです。楽譜どおり歌った方に責任はありませんが、「ポンソンファ」と歌って欲しい。言葉の響きも美しさが全然違うのです。

韓国歌曲には韓国人の詩的表現や心情の表現がされていて、その点からも興味をそそられます。日本の歌との著しい違いの一つは子音が優位にある韓国語は短い音節でより多くの意味を込められること。♪울밑에 선 봉선화야 …たった8音節で「垣根の下に佇む鳳仙花よ」という意味を包含できます。日本語との差は歴然としています。この曲で特徴的な音は激音が印象深いこと。同様に拗音、撥音、鼻母音も多く、異なる母音の違い(例えば오と어、우と으)も音韻の表情に深みを与えています。静謐な曲なので激音が強く突き刺さります。こうした韓国語の音韻の響きがとりわけ印象的です。

歌詞の表現の面では「お前の姿が清涼だ」と表現抜きでストレートに、また即物的に言葉をぶつけてきます。こういう表現ができるのも、短い音節で意味表現できる韓国語の特性ではないかと思います。何度聴いても聴き飽きることがありません。
 
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