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軽井沢国際音楽祭アフタヌーンコンサート2017/08/22

カテゴリ: コンサート 地域: 長野県
(登録日: 2017/08/23 更新日: 2024/09/30)


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記録日: 2017/08/22 軽井沢町

この日のコンサート


軽井沢国際音楽祭2017
 軽井沢おんがく散歩/アフタヌーンコンサート
  〜吉田秀プロデュース〜縁の下が退屈になっちゃったコントラバス
   2017/08/22(水)15:00開演
    軽井沢ユニオンチャーチ

<曲目>
バリエール:チェロとコントラバスのためのソナタ
ガイドシュ:独奏コントラバスのためのカプリッチョ 第2番
ロッシーニ:チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調
シュルホフ:コンチェルティーノ
間宮芳生:ヴァイオリン、コントラバス、打楽器とピアノのためのソナタ
<出演>
コントラバス:吉田秀/小林美恵:ヴァイオリン/ヴィオラ:中村洋乃理/チェロ:宮坂拡志
フルート:宮崎由美香/ピアノ:野平一郎/パーカッション:植松透
 

雑記帳


軽井沢国際音楽祭を2日続きで聴いてきました。

★軽井沢おんがく散歩/アフタヌーンコンサート 2017/08/22
http://kimf.net/program/20170822afternoon1.html 〜吉田秀プロデュース〜縁の下が退屈になっちゃったコントラバス

外国人の避暑地軽井沢の歴史を物語る軽井沢ユニオンチャーチが会場です。軽井沢の歴史ある教会で音楽を聴くことができる至福のプログラムでした。ちなみにこの協会は、天皇皇后両陛下の「テニスコートの恋」で知られる軽井沢会テニスコートと向かい合っています。

「アフタヌーンコンサート」はコントラバス奏者の吉田秀さんがプロデュースしたコンサート。軽井沢国際音楽祭は、大賀ホール会場のコンサートに加え、ブランチコンサート、アフタヌーンコンサートという軽井沢の他会場でのコンサートのパターンができてさらに魅力度が増してきました。コントラバスはオーケストラの中では縁の下に隠れた地味な存在。そのコントラバスが主役という実に面白いプログラムです。そもそもコントラバスの曲目が極めて少ないのでは? そういう意味でここに並んだ曲目はどれもが希少なもの。縁の下のごとく、確かに陽の目を見ることが少ない。何かとても得したような気分になりました。

★バリエール:チェロとコントラバスのためのソナタ
バリエールは確か以前、飯縄でチェンバロのコンサートで聴いたことがあります。あの無機的で幾何学的な様相の響きに比べると、弦楽器ではこのように情緒性があるのかと感じました。音色の違いが与える情緒の違いがあまりに大きい。

★ガイドシュ:独奏コントラバスのためのカプリッチョ 第2番
コントラバスの独奏曲自体が稀有なものでしょう。吉田秀さんの楽しい語りを聴いてこの曲を聴きました。軽井沢の湿気の多い自然環境はクラシックの演奏家にとって大敵なのだと知りました。馬の尾で作られた弓が湿気が多いと摩擦が減り、音が出にくくなるとのこと。スタッフの方が馬毛の歯ブラシを用意してくれて、それで弓を触って演奏を持たせているのだと、そのパフォーマンスもしながら演奏を楽しませてくれました。

★ロッシーニ:チェロとコントラバスのための二重奏曲 ニ長調
これは渋くて実にいい曲。ロッシーニと言えば『セビリアの理髪師』序曲や『ウィリアム・テル』序曲があまりにも有名。こんな渋くていい曲書いていたとはこの日の素晴らしい発見。

★シュルホフ:コンチェルティーノ
うーん、これもいい! シュルホフという作曲家は知らず、Wikipediaでチェック。チェコの作曲家。ナチスから退廃的な音楽の作曲家というレッテルを貼られ、後に殺害された悲運な作曲家です。ゆっくり(アンダンテ)、速い、ゆっくり、速いの4楽章構成。ゆっくりはフルート、速いはピッコロ。速いは舞曲的な曲。リズムに民俗的特色があります。チェコと言えばヤナーチェクを想起します。20世紀前半という時代背景もあり、ヤナーチェクやバルトークのように民俗音楽を収集・研究し創作をした作曲家なのではないだろうかと思わせる民俗的色彩の濃い音楽でした。

★間宮芳生:ヴァイオリン、コントラバス、打楽器とピアノのためのソナタ
うーん、「これはいい!」と聴きながら唸った作品。
第1楽章 ヴァイオリンとピアノ
第2楽章 パーカッションを交えたジャズ風の曲
第3楽章 ヴァイオリンソロ
第4楽章 パーカッションを交えた速い曲
以上のような構成だったと思います。
間宮芳生(まみやみちお)の作品は以前にも何か聴いたことはありますが、今回聴いて、極めて優れた作曲家であると認識をしました。それと共に日本人作曲家が20世紀後半、このような音楽の高みに達していたことを改めて再認識した思いがします。
ヴァイオリンの無調的な旋律の力強さ。ヴァイオリンの小林美恵さんという方の演奏力にも感心しながら堪能しました。
第2楽章でジャズのセッションのように弛緩するのも面白い。吉田秀さんは間宮先生にこのような遊び心があったことに感心した旨のことを語っていました。アルバン・ベルクとジャズが結びついたような印象があり、全体としては不思議によく締まっている。隠れた傑作に接したという思いです。

教会で聴くコンサート体験も得難いものでした。歴史的空間に身を置く。何より「軽井沢」を感じる。湿気が多い。これも軽井沢の空気感です。演奏が始まって間もなく外から犬の鳴き声が。やがて通りを通る人のがやがや音がブレンドされてくる。車の走行音はしょっちゅう。コンサートホールの外部の雑音から隔離されたある意味不自然な音空間に慣れていると、逆にこういう夾雑音は雑音どころかチャンスオペレーションの音色に聞こえてきます(そう思える私はジョン・ケージに洗脳されたか?)。

それにしてもこういうコンサートは軽井沢だから出来るとも言えます。通好みのプログラムで通常お客さんは来ませんが、このプログラムでこれだけの人が集まる。70〜80人ぐらいいたでしょうか。客層は明らかに別荘族です。それに加えて、豪華な演奏家の陣容。たった1曲のためにわざわざ演奏に来てくれる演奏家がいる。軽井沢だからあり得る贅沢な話です。


おらほねっと/ミッチーのブログから次の記事を転載
軽井沢ユニオンチャーチでコンサートを聴く
https://sns.orahonet.jp/blog/blog.php?key=16438
 

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