『青春歌年鑑』というシリーズが発売されて久しくなります。今回、ものは試しで1960年編を買ってみました。年ごとに30曲を選曲すると、その年のめぼしいヒット曲は概ね収まっている、ということになるんでしょうか。
発売年とヒット年が必ずしも一致するわけではないので、どのように年が判断されたのかはわからない点。1959年のレコード大賞曲『黒いはなびら』が1960年に入っていましたが、『アカシアの雨がやむとき』がヒットしたのはもう2年ぐらい下ってから。『黄色いさくらんぼ』は1959年だったのでは?
当時のロカビリーブームがヒット曲にこのように反映されていたのかというのがわかるのが興味を引かれます。その一方で、『達者でナ』『潮来花嫁さん』のようなローカル色たっぷりのご当地ソングの主張をしていて面白い。
その一方で異色なのが、吉田正メロディーの存在。『誰よりも君を愛す』『再会』『グッド・ナイト』。これらの曲の半音階の醸す触感が何とも言えずいい。都会の裏の片隅、という切ない感覚が出ています。♭がいくつもついた曲かと思うと、そうでもない。半音階には音符に個別に♯が付いています。意外な発見でした。余計な解説が一切なく、解釈を聞き手に委ねているのもよい。
古い音源ながら、CDで聴くと、こういうクオリティの録音だったのか、というのがわかるのも面白かった点。『潮来花嫁さん』では、音を詰まらせた鉄琴?、フルートの伴奏が聞こえています。
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