北山杜秀さんは端山貢明の業績、作品をどう捉え、評価しているのか。「クラシックの迷宮」で何よりも関心のあったのはこの点です。
端山さんの考え方、思想は大川信さんとの対談記事を踏まえています。生涯と業績を大きく作曲活動(ビフォー)、メディアとソシアルダイナミクス(社会動学)の研究活動(アフター)と分けると、言及されているのはビフォーの範囲。端山さんが作曲活動以後、どのような方向に移っていったかを次のようにまとめています。
「世界の混沌をありのあまに受け入れつつ、ミニマムにコーディネートしたいというところがあって、それには個人で作曲するよりも、世界の流動する一つの大きな場所としての電脳空間で活用できるようなツールを開発した方がいい。混沌の果てに交響曲「象形」のようなディスコミュニケーションと滅亡が来るのではなくて、社会も人間も変容して更新されて、もの見合いで楽しく生きていける自由な環境を電脳空間の上に作っていくんだ。個人の作品ではなくて、みんなの場をつくるんだ、という方に端山さんの関心は移っていったわけです。」(ほぼ発言どおりに採録)
なるほど、北山さんの言葉で端山さんがその後目指したソシアルダイナミクスを北山さんの視座、言葉で言うとそうなるのだな、と合点しました。
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