大げさに言うと、古きよきシャンソンの時代の幕引きか。シャンソンの滲みついた文化が体から溢れ出してくるようなイヴ・モンタンの振る舞いと歌いっぷり。粋ですね。晩年のモーリス・シュヴァリエにもあらわれていた粋がこのOlympiaのモンタンにもあらわれています。全く人が違ってもこんなに濃厚なフランス文化の香りを漂わせることができるというのが極めつけの芸人ということなのでしょう。
この1981年は、いわゆるヌーヴェル・シャンソンが台頭し始めた時代。当時のジャック・イジュランなども悪くなかったですけど、やはりモンタンは格が違いすぎました。
この中で特に好きな曲は「Dansons la rose」という曲。この曲、最高にいい! 「ピカルディーのバラ」と訳されていますけど、この原題の何と粋なこと。「バラを踊ろう」? 下手に訳さないほうがいい。フランス語として決まりすぎている。カッコいい。いや、ほんと、この歌のように、味わい深く歳をとりたいものです。
モンタンも亡くなりましたけど、このアルバムは一生の宝です。
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