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メシアン:鳥のカタログ

カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2007/08/26 更新日: 2024/09/30)


1994
ユニバーサルクラシック
ウゴルスキ(アナトール), メシアン

この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」(CDクラシック)に投稿したものです。
 

おすすめレビュー


昔、このCDを買ったはずなのに見つからなかったのも当然。まだ空けていない引越し荷物のダンボール箱の中にうずもれていました!

いいも悪いも、ともかくメシアン先生の代表作『鳥のカタログ』にこのCDで初めて触れることができました。その意義が何と言っても大きい。聴いて感動したかどうかは二の次です。

3枚組CD。のべ3時間。全部で14曲。曲それぞれに鳥の名前がついていますが、各曲には数種から20種ぐらいの鳥のさえずりがモティーフとなって織り込まれています。逐一、聞きながら、何と何と何…というぐあいに聞き耳は立てられるものではありません。さらっと聴き流す以外に聴く方法はない、といってもよい。楽しいといえば楽しい。聴き方によっては拷問に近いかもしれません。気楽に聞き流すのが何よりです。

それにしても、よほど私の音感が悪いのか、これを聴いて鳥のさえずりがモティーフだとは思えません。ヨーロッパの鳥だから馴染みがない、というものではない。いくつかは日本にもいる鳥です。特にオオヨシキリなど、ギョギョシと鳴くわけで、その片鱗ぐらいわかってもよさそうなものですが、さっぱり識別できません(笑)。同じオオヨシキリでもヨーロッパと日本では鳴き方がまるで違うのでしょうか?

余談ながら、メシアンの『7つの俳諧』という作品には「軽井沢の鳥たち」という小曲が含まれています。これは『鳥のカタログ』ではありません。「軽井沢の鳥たち」にはウグイスが出てくることになっていますが、これも殆どよくわかりませんでした。やっぱり音感がないのか…。

鳥のさえずりを録音から採譜するのでなく、現実の音から直接採譜するというのには感心します。この聴き取り力は、作曲家だからできるんでしょうか。天賦の才能としか言いようがありません。

鳥のさえずりという自然現象を起源としながら、作品としての『鳥のカタログ』は全く脱自然化して現代音楽らしい人工的な音楽に換骨奪胎しています。ああ、これが創作か(模倣しつつ模倣を超えている)と、これも不思議に納得できるところです。
 
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