マーラー:交響曲「大地の歌」
カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2005/10/05 更新日: 2024/09/30)
2002 東芝EMI クレンペラー(オットー), フィルハーモニア管弦楽団, ニュー・フィルハーモニア管弦楽団, ヴンダーリヒ(フリッツ), ルートヴィヒ(クリスタ), マーラー
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おすすめレビュー
もう言うまでもないでしょう。この曲とこの演奏。不朽の名盤というやつです。「大地の歌」は、熟しすぎの美の世界。熟れ過ぎた柿が今落ちようとしている…。美酒に酔う。大自然を愛でる。そんな風景を思い描くとこの作品のイメージにぴったり。
演奏の艶めかしさといったらありません。フリッツ・ヴンダーリッヒの声はまるで熟れ過ぎのトマト。クリスタ・ルートヴィッヒの渋さ。終楽章「告別」は熟れ過ぎた果実も落ちて、静かに木枯らしが吹くかのごとく。絶品というよりもこれ以上の極上の歌はあり得ないというぐらいに渋く深い。
数々の演奏を聴いても、未だにこれを凌ぐ名演に出会うことがありません。バーンスタインもこの曲については今一歩及ばず。バーンスタインの「大地の歌」は、例のごとくに緩急の極端なダイナミズムはあるのですが、クレンペラーの完熟さにはかないません。最近聴いたのはブーレーズ。例によって例のごとく。ポリフォニックな面はよいのですが、味わいの深さが足らず。クレンペラーのこれ、なんでこんなにいいんだろう…と思うぐらいにこの演奏は絶品。レコーディング史上、空前絶後の傑作です。絶対のおすすめ。
満足度★★★★★
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