生まれて初めて小津安二郎誕生の地を訪れてみました。江東区教育委員会による説明板が立っています。
「江東区の生んだ世界的映画監督小津安二郎」。なるほど地元としてはそう紹介したくなると思いますが、「日本の生んだ」と記せば全く違和感はありません。この説明文もそうした方が結果としては江東区を誇ることになるのではないかと思ったのが正直な感想です。
この説明板、目立たないところにあり、その存在に気づけずその前を一度通り過ぎてしまってからやっと見つけました。GoogleMapsで住所「深川1-8-1」を検索すると、説明板のある場所の真向かいのビルではなく、もう一軒奥のところがそのピンポイントの場所になるようです。そこにあった「湯浅屋」という肥料問屋が生家ということです。個人宅の前に立てるわけにもいかず、大通り沿いのこの場所に立てたのでしょうか。
できることなら、こういう控え目な地元出身の偉人の顕彰だけでなく、もっと広く江東区をアピールする何かをしてもらいたい。生誕地というものは作品とは意外に結びつかないものです。私もここ深川を訪れてみて、『出来ごころ』(1933年)に描かれたような庶民的な人情のある人々の社会があったことを想像してみることができます。小津の「喜八もの」を通じて小津を顕彰するというものもあっていいのかな、と思うところです。
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