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ミッチーのほぼ日記

自炊して見えてくること

地域: どこか 束ね: その他
(登録日: 2024/01/26 更新日: 2024/02/22)


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記録日: 2024/01/25


自炊すること


人生のターニングポイントでもある定年を間近にし、自宅と大学の研究室に私物でもあり、物理的にもかさばる数多くの書籍、文書類を処分しなければならないことが課題になっています。

幸いなことに社会のデジタル化が進み、紙媒体をデジタル化して保存する営み、いわゆる「自炊」が容易にできる時代になったのはこの上ないことです。そこで蔵書の自炊にぼつぼつと取り組んでいます。自炊を始めたのは10年以上前から。以前は思いついた時にぼつぼつ、ただし限られた期間の中で処理しようとすると物量と時間の限界が目に見えています。らちがあきません。ここ数日大学で授業等が終わった後、1〜2時間を自炊の作業に当てるようにしました。研究室にある蔵書を全部処理することが現実的な目標です。昨日1月25日は16:10〜18:40の約2時間半、せっせと自炊に取り組みました。全部で22冊。単純計算すると1冊につき約7分です。実際にはスキャンしたPDFデータを書籍単位にマージし、メタデータ(書籍名、著者名、発行年)を記す必要があるため、もう少し時間がかかります。1冊約10分と見ればよい。全部で何冊あるかがわかれば、おおよそ全ての自炊にかかる所用時間はる程度見積もれます。

数十年にわたる人生の中で増え続けてきた蔵書は、自分が生きてきたことの痕跡でもあり、自炊は単に物理的に書籍をデジタル化するという作業ではなく、自分がしてきたことのふり返りのトリガーでもあります。その意味が一番大きいと感じています。
 

大きな歴史的転換の認識、知識消費型社会の幕引き


研究室の書架を占有し、自宅の本棚にも収蔵スペースがないぐらいに増え続け肥大化した書籍の山。ここ数年、新たに購入する書籍は電子化されたものになるべく限定をしていますが、それでもどうしても紙媒体の書籍でないと手に入らないものもあり、増加数は鈍化しても減ることはありません。

研究や教育の場で私がたびたび言及してきた「知識消費型社会から知識循環型社会への転換」、まさにその状況に直面しています。過去のものが物理的には遺物となり、そこに詰め込まれている知識(情報源)はデータとして継承することにより、価値あるものは失うことなく、生活を圧迫し続けてきた物理的媒体としての書籍から空間が解放されてフットワーク軽く、本来の知的活動に専念できる時代がやっとやってきたという思いが先に立ちます。一言で言うと「知識消費型社会の幕引き」が近づきつつあるという実感、大きな歴史的転換点に立っているという認識を何よりも強く意識化させてくれるのが「自炊」に他なりません。
 
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