10/20はベルリン国立歌劇場の日本公演の最終日。東京文化会館でシェーンベルクのオペラ「モーゼとアロン」を聴いてきました。バレンボイムの指揮。演出のペーター・ムスバッハは、SKFで「ヴォツェック」の演出をした人だと知りました。なるほどと思わせる演出でした。
あらゆるオペラの中で最も実演で触れてみたいと思っていたのが「モーゼとアロン」です。まさか、日本でホンモノの上演が実現するとは思わなかった。待ちに待った公演でした。感想は機会を改めて書くことにしますが、よかった! この難曲を暗譜して歌うわけですから、さぞかし大変なことでしょう。加え・トこれだけの質の上演に接することができるのは至高のものです。さらに驚いたことに、この日は満員御礼だったらしい。会場の入り口で「チケット求む」のプラカードを持った人が何人も立っていたぐらい。「モーゼとアロン」で満員にしてしまう日本のクラシック文化の浸透ぶりを感じました。
チケットをネットで購入したのが発売初日。たしか4月だったのでは? 今年のサイトウキネンよりも発売日が早かった。半年も前にチケットを買っておかないといけない状況も大変なことです。 チケットが1人31,000円です。それでも4階席です。1階のS席は49,000円という値段。うわっ、高い! 相対的に31,000円が安く感じられてきます。今回の日本公演3演目のうち「ドン・ジョヴァンニ」と「トリスタンとイゾルデ」は54,000円。「モーゼ」は時間が短いのでやや安い料金設定になっていました。それにしても…と思いませんか。こういう価格を見るとサイトウキネンがいかにリーズナブルなことか。
さて、話題は変わり、今回のコンサートでは入口で束になったチラシをたくさんもらいました。東京文化会館へ来ること自体が久しぶりです。以前からコンサートのチラシを眺めるのは楽しみの一つでもありますが、今回はチラシがオペラのパンフレットの厚さの2倍はあろうかという分厚さでした。東京駅で帰りの新幹線に乗ってチラシを眺め始めたら、全部一通り目を通すのに軽井沢駅に着いてしまいました(笑)。
結構凄い外国からのオペラの引越し公演がいくつかあります。値段も注目です。 パリ国立オペラ S席58,000円 マリインスキーオペラ(サンクトペテルブルク)、S席50,000円 ドレスデン国立歌劇場 S席57,000円 ウィーン国立歌劇場 料金未定 ウィーン・フォルクスオーパー S席39,000円 ※オペレッタでこの価格とは オペラの引越し公演はまだまだ他にもあります。 引越し以外の国内の公演が本来ならメインであってよいはずですが、数々の来日の華々しさにすっかり埋もれてしまいかねない感じです。
これだけの数の公演があり、この料金設定をしているということは、それだけの金を出す観客が相当数にいるという状況を物語っています。
それだけではなく、いわゆるポピュラーなオペラの演目がありません。「カルメン」や「フィガロの結婚」では、日本の観客は飽きてきてしまったのか。確かに来日公演が続々あったら、既に見た演目は敬遠することで・オょう。今回の「モーゼとアロン」もある意味、そういう飽食な人たちのためのメニューだったかと半ば納得していまいました。
のだめもぶっ飛ぶような一流どころ、高額料金、ニッチな演目、すごいオペラ文化国家になってしまったものです。飽食の時代、というのか、飽音の時代というのか、チラシみて、その中身の凄まじさにもまいってしまいました。
|