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ウェスト・サイド・ストーリー

カテゴリ: おすすめレビュー 地域: どこか
(登録日: 2007/08/26 更新日: 2024/09/30)


2003
ユニバーサルクラシック
バーンスタイン(レナード), カナワ(キリ・テ), カレーラス(ホセ), トロヤノス(タティアーナ), オルマン(カート), ホーン(マリリン), オーケストラ&コーラス, バーンスタイン

この「おすすめレビュー」は、mixiの「おすすめレビュー」(CDクラシック)に投稿したものです。
 

おすすめレビュー


『ウェストサイド物語』はブロードウェイ・ミュージカルがオリジナルの悲哀といったらいいのか、オリジナル・ブロードウェイ・キャスト版というのも確か聴いたような気がするし、映画のサウンドトラック版も聴きました。正直なところ、演奏も歌もあまり満足できないものでした。

それから20年以上が経ち、1980年代、バーンスタインは巨匠扱いされるようになって、『ウェストサイド物語』もブロードウェイどころかウィーン・フォルクスオパーでも上演されたりする名誉に。これはその頃のレコーディングです。今後、ウィーン国立歌劇場で上演されても何ら違和感ありません。作品の評価も定着してきました。ミュージカルとオペラの間には格差があるというよりも別物の文化です。しかしながら、ポピュラー扱いされて貧乏くじを引いてきたのが『ウェストサイド』の悲哀です。演奏・歌もいまひとつだったし、バーンスタイン自身が自作でありながら我田引水できなかった。クラシックに格上げ?の扱いをする儀式が必要でした。それがこのレコーディングです(と私は解釈しています)。

このレコーディングには実は「メイキング・オブ」があって、これが楽しめるものでした。バーンスタインの自作自演の思い入れがたっぷり。やはり自作をこれぐらい溺愛しなければ情熱あるいい演奏に昇華するものではありません。最も印象的だったのは、バーンスタインが、ホセ・カレーラスに「あんたの英語はへたくそだ」とブーイングする場面。アメリカ人じゃないわけですから、そりゃしようがないでしょう。大スターに対して情け容赦なかった。

それで演奏は、というと、めちゃくちゃいい! これが映画で聴いたあの音楽と同じものか、と思うぐらい。オーケストラの響きのいいこと。歌い手がキリ・テ・カナワとホセ・カレーラスなので、若々しいとは言いかねますが、ともかく上手い歌でこの作品を聴きたかったので、このレコーティングにはかなり満足です。
 
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