[NPO法人地域資料デジタル化研究会のページに戻る]
移りゆく景色ー長年親しんだ地元デパート・岡島百貨店の建物を記録
→画像表示 [ Lサイズ ]
[ オリジナル ]
記録日: 2023/02/14 山梨県甲府市丸の内
山梨県甲府市の岡島百貨店が2023年2月14日(火)、現店舗での営業を終了し、近隣の商業施設「ココリ」に移転、翌3月3日(金)に新装開店することになった。現建物は取り壊しとなる。山梨県唯一の大規模デパート、甲府市のシンボル的建物が消えてしまう前に記録に残したい。
|
<岡島の歴史と移転について>
社史によると、岡島は天保14年(1843年)お茶、呉服、両替商として商売を始めた歴史ある会社である。明治時代に新時代の要求に応じて洋服部及び洋品部を開設、明治37年には新店舗を建設、時代のトップを切り陳列販売方式を採用した。昭和11年には株式会社岡島として本格的な百貨店としての営業を開始。13年に現在地に鉄筋コンクリート建、地上5階のビルを新築、営業開始。昭和20 年、甲府空襲で店の内部を全焼するも、あちこちから品物を集めて営業を続けながら改修工事を開始し、27年に復興工事終了。30年には屋上遊園地を整備した。その後増改築を重ね、昭和63年11月、完成した売り場面積は32,044uとなった。これは全国で4番目の規模である。平成12年9月快適高質百貨店づくり3ヵ年計画に基づきリニューアル。平成14年7月、昭和46年より業務提携していた三越と、山梨中央銀行の支援を受ける。15年フロアのリニューアル。16年ポイントカード導入。令和5年、現店舗での営業を終了し、近隣商業施設ココリに移転。 今回の移転は建物の老朽化や回転式駐車場の故障などを考えれば仕方がない。多分来客数の減少も移転理由であろう。移転後は店舗の規模が縮小する。現店舗の面積が地下1階地上8階32,044uであるのに対して移転先は地下1階地上2階約4,500m²。現店舗の14%である。因みに跡地の予定では岡島が現在地に戻ることはない。
<現店舗での営業終了にあたって、客からのメッセージ>
移転にあたり、「岡島のあゆみ写真展」が売り場の一角で開催され、そこには客がメッセージを書けるようになっていた。感謝のメッセージと共に思い出や期待の言葉が書かれている。中でも多いのが、サンリオフェスティバルや物産展が良かったこと。大食堂でのお子様ランチ、分厚いホットケーキ、プリンアラモード。屋上遊園地。屋上からの眺め。岡島に行くこと自体が一大イベントで特別な体験、おしゃれをして行った場所、大切な人への贈り物や返礼品・お中元御歳暮を買う場所、人生の節目の買い物の場など岡島が高級でしっかりとした商品を販売していることとブランド力への期待感も伺える。また待ち合わせやお出掛けの前後に行く場所としての岡島、売り場面積約3,000u、多いときには80万冊の本を揃えた大型書店の閉店を惜しむ声も散見される。年齢に合った洋服が買えた唯一の場所、日本人は貧しくなって安い物ばかり買うようになってしまったという声もあった。 私自身にとってはそのジャンルの知識や常識に精通している店員さんに相談して買い物が出来るお店、冠婚葬祭の時など手伝ってくれる頼りになるお店でもある。
<昭和の山梨の写真家・内田宏氏の写真>
▼01 甲府市街の眺め 岡島百貨店 |
▼02 岡島屋上遊園 |
|
|
<昭和の山梨の写真家・中山梅三氏の写真>
▼01 店内女性スナップ |
▼02 店内女性スナップ |
▼03 店内女性スナップ |
▼04 店内女性スナップ |
|
|
|
|
▼05 岡島百貨店入り口 |
|
<岡島百貨店の建物を営業終了前に撮影した写真(方向別にぐるりと回る)>
▼01 岡島百貨店 西から建物の南西の角を眺める |
▼02 岡島百貨店 建物の南西の角 |
▼03 岡島百貨店 建物南西の角 |
▼04 岡島百貨店 建物南面 |
|
|
|
|
▼05 岡島百貨店 建物南面の正面口 |
▼06 岡島百貨店 建物南面のウィンドウ |
▼07 岡島百貨店 建物南面のウィンドウ |
▼08 岡島百貨店 建物南面のウィンドウ |
|
|
|
|
▼09 岡島百貨店 フロア案内版 |
▼10 岡島百貨店 表示 |
▼11 岡島百貨店 建物の東南の角 |
▼12 岡島百貨店 建物の南面・南東出入口と本館第一駐車場入り口 |
|
|
|
|
▼13 岡島百貨店 本館第一駐車場への入り口 |
▼14 岡島百貨店 東南から建物南面を眺める |
▼15 岡島百貨店 建物西面にある本館第一駐車場入り口 |
▼16 岡島百貨店 西側の通り |
|
|
|
|
▼17 岡島百貨店 建物東面にある駐輪場 |
▼18 岡島百貨店 東から建物北面を眺める |
▼19 岡島百貨店 元回転式駐車場 |
▼20 岡島百貨店 建物の北面 |
|
|
|
|
▼21 岡島百貨店 建物の北面 |
▼22 岡島百貨店 建物北面・紅梅町出入口 |
▼23 岡島百貨店 建物北面・紅梅町出入口 |
▼24 岡島百貨店 西側オリオン通りから建物西面を眺める |
|
|
|
|
▼25 岡島百貨店の西面にある非常階段 |
▼26 岡島百貨店 建物西面 |
▼27 岡島百貨店 西面のウィンドウ |
▼28 岡島百貨店の建物西面 オリオン通り出入口 |
|
|
|
|
▼29 岡島百貨店 南から建物西面の通りを眺める |
▼30 避難場所の地図 |
|
|
<記録を終えて>
この記録がどなたかのお役に立つことを、思い出話の種になることを心から祈っています。
岡島は新店舗でどのように営業していくのでしょうか。今は昭和時代のように成長している明るい日本ではなく、政治家がいくら異次元の政策を叫ぼうと人口増加や日本経済の黄金期の再来は難しいと思っている人が多いのでは?例えば洋服。街を歩いていても贅沢なおしゃれをしている人をあまり見ません。共稼ぎの若い御夫婦の話を聞くと、ドラム式の洗濯機で乾燥までしてしまうので、衣類はそのような洗濯方法に合う素材を求めると言います。アメリカIT大手の創始者がTシャツとジーンズで登場したのもよそ行きと普段着の服装に差がなくなった理由の一つかもしれません。郊外の大規模ショッピングセンターに若い人達は出掛けます。インターネットの普及による客数の減少、更に新型コロナウィルスの流行はそれに拍車をかけました。 全国では撤退を決めたデパートもありますが、岡島百貨店は規模を縮小しても営業を続ける道を選びました。縮小していく日本で百貨店のあるべき姿なのかもしれません。自分達の町を寂しくしたくなかったら、少しばかりのお得と便利は置いておいて、岡島に限らず地元のお店を財布で応援しなくてはいけないと思いました。
▼01 岡島百貨店移転先「ココリ」を東南から眺める |
▼02 岡島百貨店移転先「ココリ」を北西から眺める |
|
|
お問い合わせはこちらにお願い致します。
|